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  1. 広島県議会 2022-02-06
    令和4年2月定例会(第6日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和4年2月定例会(第6日) 本文 2022-02-24 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 40 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長中本隆志君) 選択 2 : ◯議長中本隆志君) 選択 3 : ◯竹原 哲君 選択 4 : ◯議長中本隆志君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長中本隆志君) 選択 7 : ◯農林水産局長佐伯安史君) 選択 8 : ◯議長中本隆志君) 選択 9 : ◯環境県民局長新宅郁子君) 選択 10 : ◯議長中本隆志君) 選択 11 : ◯会計管理者(兼)会計管理部長城田俊彦君) 選択 12 : ◯議長中本隆志君) 選択 13 : ◯教育長平川理恵君) 選択 14 : ◯議長中本隆志君) 選択 15 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 16 : ◯中原好治選択 17 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 18 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 19 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 20 : ◯都市建築技術審議官上田隆博君) 選択 21 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 22 : ◯危機管理監(尾崎哲也君) 選択 23 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 24 : ◯商工労働局長(川口一成君) 選択 25 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 26 : ◯土木建築局長(齋藤博之君) 選択 27 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 28 : ◯環境県民局長新宅郁子君) 選択 29 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 30 : ◯健康福祉局長(木下栄作君) 選択 31 : ◯副議長小林秀矩君) 選択 32 : ◯議長中本隆志君) 選択 33 : ◯宮崎康則君 選択 34 : ◯議長中本隆志君) 選択 35 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 36 : ◯議長中本隆志君) 選択 37 : ◯都市建築技術審議官上田隆博君) 選択 38 : ◯議長中本隆志君) 選択 39 : ◯教育長平川理恵君) 選択 40 : ◯議長中本隆志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長中本隆志君) 出席議員五十九名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第七十二 報第六号 2: ◯議長中本隆志君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 令和四年度広島県一般会計予算から日程第七十二、報第六号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  前会に引き続いて質問を行います。竹原 哲君。         【竹原 哲君登壇】 3: ◯竹原 哲君 皆さん、おはようございます。自由民主党広島県議会議員連盟の竹原 哲でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただき、中本議長、小林副議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆様、心より感謝申し上げます。また、日々県民の皆様の命と健康を守っていただいている保健、医療、介護、福祉従事者の皆様、教育、保育に従事する皆様、新型コロナ対策に関わっている県民全ての方がエッセンシャルワーカーであると認識しており、皆様方に深く感謝申し上げます。  新型コロナ感染症は、世界中で猛威を振るい、マスクの着用などウイルス対策が我々の生活の一部として浸透しているように、このコロナ禍は僅かな期間に人々の生活様式をがらりと変えてしまったというのは、衆目の一致するところであります。しかし、私たちは、この変化をチャンスと捉え、よりよい方向に社会を変えていくこともできるのではないだろうかと思うところであります。  不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず。俳人松尾芭蕉が提唱した俳諧の理念の一つに、不易流行というものがあります。これは、不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、変化を知らなければ新たな進展がないという意味であります。どんなに時代が変わっても変わらないもの、変えないものである不易と、世の中の流れに合わせて変わるもの、変えていかなければならないものである流行のどちらも存在し、よりよい状態に持っていくために意識すべきことが示唆されています。  新型コロナ感染症によって、今まで当たり前のように過ごしてきた日常が寸断されてしまった今、社会全体がここで一度立ち止まり、本当に価値があるものは何かを冷静に見詰め直すとともに、今まで先送りしてきた社会のひずみが浮き彫りになった今、これまで当たり前に受け入れてきた前提にとらわれずに、グレートリセットをどのように図るかが問われているところであると思います。  本日は、不易流行、グレートリセットの観点で県政の諸課題についてお伺いしたいと思います。知事をはじめ、執行部の皆さんの大胆な答弁を期待して、質問に入ります。  質問の第一は、グレートリセットに対する知事の認識などについてお伺いします。  さて、グレートリセットとは何かでありますが、これは、世界のリーダーたちが連携する国際機関、ダボス会議を運営する世界経済フォーラムが、二〇二一年一月に開催する予定だった年次総会のテーマとして発表されました。世界経済フォーラムの創設者クラウス・シュワブ会長は、このグレートリセットについて次のように語っています。  第二次世界大戦後から続く社会経済システムは、異なる立場の人を包み込めず、環境に大きな負荷をかけ、ダメージを与え、社会的、経済的な不平等が人々の分断や怒りを招き、ガバナンス、協調などに危機をもたらし、持続性に乏しく、もはや時代遅れとなった。そうした中、コロナパンデミックによって社会生活や国際関係は行き詰まり、個人的にも、政治的にも孤立感が深まることとなった。そこで、私たちの生き方、働き方、互いの交流の在り方を変えるために、第二次世界大戦後の社会経済システムを前提とせず、これまで以上に持続可能で公平なシステムの下、世界経済をつくり上げるべき、つまりグレートリセットという考え方で、世界の社会経済システムを考え直すべきであると対談にて提唱されています。  確かに、我々は、第二次世界大戦後、驚異的な繁栄と進歩を実現し、人類がこれまで経験したことのないような目覚ましい発展を遂げ、世界有数レベルの物質的な幸福を手にしてきました。しかしながら、このような莫大な富を築く一方で、所得と富の格差が広がり、人々の間にいら立ちをもたらし、多くの人々が、教育、健康、技能などの面で本来の可能性を十分に発揮できない状態が続いてしまい、社会の全体的な発展にも悪影響を及ぼしているという事実に直面していると感じています。だからこそ、シュワブ会長の提唱する全ての人々に公平に行き渡る包摂性と回復力を備えた持続可能性の高い経済システムが必要という考え方に基づいて、社会を見詰め直すことが必要なのではないでしょうか。  広島県においても、コロナ禍で学ぶ機会の格差、非正規雇用者への影響、賃金格差など、個人レベルの課題とともに、都市圏と中山間地域に見られる人口減少と一極集中がもたらす社会レベルでの課題が山積しています。  コロナ禍以前よりゆがんでいた、これらの課題に抜本的なところから見詰め直す岐路に立っている今、グレートリセットの考え方は、我々に社会課題に取り組む大きな示唆を与えてくれていると思います。  そこで、シュワブ会長と直接対談された御経験のある知事の持続可能性、包摂性、回復力を中心に考えたシステムの必要性を説くグレートリセットに対する認識をお伺いいたします。また、コロナ禍における社会経済体制に対する認識、そしてこれらのことを踏まえ、令和四年度予算案に対する知事の思いを県民に伝わるよう、分かりやすくお答えいただきたいと思います。  質問の第二は、三方よしの施策の展開について、何点かお伺いします。
     一点目は、利他の心を育む教育の推進についてであります。  シュワブ会長は、グレートリセットを語る中で、人々の幸福を中心とした社会に考え直すべきとして、日本の売手よし、買手よし、世間よしの三方よしの精神に注目しています。  三方よしの精神は、江戸時代の滋賀県で活躍した中村治兵衛という近江商人の教えが原点と言われています。他国へ行商する際、全て自分のことのみ考えるのではなく、その国全ての人々を大切にして、私利を貪ってはならないと記され、商いは、取引をする当事者双方のみならず、取引自体が社会をも利することを示唆しています。つまりは、自己の経済的利益追求のみならず、買手そして商売を通じて社会貢献すること、すなわち利他を求める考え方であり、日本の大企業のみならず、多くの企業の理念や経営者の心得として、日本の経済界において脈々と受け継がれている精神の一つです。  こうした近江商人の精神が培われた背景として、当時の寺子屋において、読み、書き、そろばんと同時に、儒教の仁義礼智信の五常の教え、心を育む教育にも力を入れていたとのことであります。県内では、コロナの収束を願うサプライズ花火が各所で打ち上げられ、また、医療従事者への感謝の気持ちを表すフライデーオベーションの取組などが行われており、まさに利他の心の発出であると思うところであります。  こうした心、精神は、日本の世界に誇れるものであり、決して失われることなく、少子高齢化が加速度的に進み、資源も減少するなど、困難な未来が待ち受けている現代にあってこそ、育み、大事にしていきたいと思います。  持続可能な開発を目指すSDGsが世界の潮流にある今、利他の心、精神が、新たな資本主義社会の再構築へのヒントになるものと思い、次代を担う子供たちにこそ、ぜひ備え、養ってほしいと思うところであり、地域の発展成長を支える人材から世界を舞台に活躍する人材まで、厚みのある人材層の形成が可能となる土台となると考えております。  本県では、道徳性を育む教育に取り組んでいることと思いますが、利他の心を育む教育に一層力を入れていただきたいと思います。教育長の御所見と実現に向けた方策をお伺いいたします。  次に、公共調達による経済対策についてであります。  新型コロナに係る医療体制の確保や感染防止対策の強化、コロナ禍による失業などの経済危機を乗り越えるため、国を筆頭に債務を増やしています。本県においても、令和四年度当初予算を含め、これまで約五千億円もの資金が投入されています。その財源のほとんどが国からの交付金等ではありますが、広島県民を含め、これはいずれ未来の世代が払うツケであることを忘れてはなりません。  当初予算においても、本県企業の事業継続と雇用維持を目的に三百億円を超える施策を講じることとしています。  下森議員の代表質問においても、地域に仕事をつくることが行政の使命であると言及されていましたが、公共事業はもちろんのこと、物品の調達、役務委託契約の公共調達は、地域で資金を循環させることができる基本的な経済対策と思う次第であります。  こうした観点から、これまで我が会派から多くの議員が地元優先の公共調達の在り方について質問してきましたが、今日までの間、どのような見直しが図られ実行されているのでしょうか。コロナ禍で富める者とそうでない者の格差が拡大する今、行政の根幹的な所得の再分配機能を十分に発揮することが求められていると思います。  先ほど申し上げた三方よし、そして下森議員も触れた経世済民の観点から、県内企業を優先とする公共調達を本県の経済対策としてしっかりと位置づけ、地域活性化に軸足を置いた広島モデルを掲げ、商工労働局はもちろんのこと全庁を挙げて取り組んではいかがでしょうか。そうすることで、県内で資金を循環させ、雇用の維持・拡大を図ることは、長期的に見ると未来の世代への負担の軽減にもつながると思います。  これまでの運用の見直しの状況も含め、知事の御所見をお伺いします。  次に、若者や女性等の就農促進についてお伺いします。  農業は、我々が生きていく上で欠かせないものであります。また、水源の涵養、洪水の防止など、多面的機能を公益的に有し、まさに三方よしを体現した貴重な産業であり、そのポテンシャルを十分に引き出し、持続可能な発展を成し遂げる必要があると考えています。  農業者の高齢化が進む農業を維持するため、本県では集落法人化を進め、中には株式会社へ組織を変更することで体制を強化し、若手の雇用につなげる法人も現れているとのことであります。先祖伝来の土地を地域のみんなで守るという所期の目的は一定程度達成しており、この点については高く評価しております。  一方で、私の生まれ故郷の安佐南区戸山学区においても、三地区が法人化をし、主に稲作を中心とした法人経営が行われておりますが、現状の経営環境や財務状況から法人の将来性に不安を感じておられる声も聞いております。その要因として、まず、本業である水田経営が安定性に欠け、このため、法人の役員報酬や従事者の賃金水準が他産業と比べ競争力が弱いことから、将来性のある職業として若者に選択してもらえず、後継者を確保育成できない状況に陥っております。  こうした状況を打開すべく、広島県森林整備農業振興財団においては、専門家による伴走支援、高収益な園芸作物の導入や六次産業化、スマート農業推進の支援を行っており、このことを通じて収益性の改善に努めて、一定の改善が図られている法人も存在しているようであります。しかしながら、これらによっても多くの法人においては、新規で若者の担い手の取り込みまでは至っていないのが現状であると聞いております。  コロナ禍により、低密な中山間地域の空間や心の豊かさへの志向の変化などから、若者の就農が促進されるという淡い期待がある一方で、現実には、観光、外食産業の停滞による影響などのマイナスイメージや、きつい、汚い、格好悪いなどの農業の雇用環境に対する固定観念もあることから、経営体の経営力強化を図りつつも、職業としての農業の魅力と認知度を高める取組が必要と思うところであります。例えば、農林水産省では、農村地域や農業に人材を呼び込み、地域や農業を発展させていくためには、女性が活躍できる状況が必要との観点から、育成に向けた研修や横断的な交流の推進、トイレ改修などの職場環境改善の支援など、女性農業者が活躍できる環境を整えるための取組を進めながら、農業に携わる女性を魅力的に紹介することにも取り組んでおります。  また、県内において、学びの場を通じて若者と農業がつながる萌芽を感じる事例が増えていると実感しています。例えば、広島経済大学ゼミでの世羅町の農業課題をテーマとした若者目線での研究、安田女子大学ゼミでの六次産業化に向けた農学連携、このほかにも、県内商業高校での農産物の販売促進をテーマとした授業など、農業と若者などとの結びつきが見えてきています。  私は、農業は、あらゆる学びや仕事とつながるものと思います。農業は、アイデアと意欲次第では大規模化といった生産面だけにとどまらず、レストラン併設や農泊、加工食品開発など、広くビジネス展開ができ、そして自分の生活スタイルに合った農業スタイルを生み出せる可能性を秘めています。こうした職業としての農業の魅力を最大限にPRしていただきたいと思います。  そこで、先ほど申し上げた国や県内大学の動きを好機と捉え、県においても法人等の経営力強化に加え、職場環境の改善支援や職業としての農業の魅力を積極的に発信し、女性や若者の就農促進を図ることが重要と思います。知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、里山林対策について、二点お伺いします。  一点目は、里山林の公益的機能の維持に向けた取組についてであります。  平成十九年から実施されているひろしまの森づくり事業は、現在第三期目を終えようとしております。これまで手入れが行き届いていない人工林の間伐と、防災・減災、水源涵養、景観維持、獣害防止など森林の適切な管理に対する社会的要請に応えるべく、里山林の整備が促進され、整備地域の広がりとともに森づくり事業や森づくり県民税に対する県民理解も進むなど、着実に成果を上げながら取り組まれているものと認識しております。  そうした中、来年度からの次期推進方針案において、里山林対策の課題として、地域住民等の活動範囲が地域内に限定され地域活動に広がりがないことや、森林状況の変化として放置された里山林における影響が拡大と整理されています。居住地域に近く、近年、循環資源の宝庫としてもその価値が注目を集めている里山林の対策は、次期計画においてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そこで、里山林整備について、第三期までの成果と課題を踏まえ、今後どのような方針で取り組むのか、森づくり事業における森づくり県民税の意義と役割を含め、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、マツタケ生産量日本一の奪還に向けたアカマツ林の整備促進についてであります。  里山林を構成するアカマツ林の再生に向けて、本県では、平成十三年から令和二年までの間、アカマツ林復活の切り札として期待される抵抗性アカマツを累計百七十万本植樹しております。最近では、東広島市において、広島セブンの森づくり活動として、地元森林組合と共に抵抗性アカマツを植樹するなど、里山林再生の中でもアカマツ林再生が進み、また、庄原市においては、マツタケ山の再生に向けて、県立広島大学の研究開発を助成するなど取組を進められてきたと伺っております。  こうした取組を通じて、秋の味覚マツタケの増産につながることが期待されるところであり、里山林の整備の一環として県が戦略的かつ広域的に取り組めば、広島県のマツタケ生産量日本一の奪還も夢ではなく、想像するだけで私は胸が躍ります。我々広島県が忘れてはいけない広島里山文化の代名詞であるマツタケの生産量の日本一奪還が実現すれば、マツタケ生産者、販売者、消費者、県全体として、森林資源の循環の恩恵を授かることができるものと思います。里山復活によって置き忘れた里山林のもたらす森林資源の循環に、県として今こそ取り組むべきではないでしょうか。  そこで、マツタケ生産量日本一の奪還に向けたプロジェクトを立ち上げ、県内全域でアカマツ林の再生整備を強化することについて、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、地域の歴史、文化、芸術分野におけるDXの推進についてであります。  郷土の先人たちに育まれた歴史やその歴史と風土を背景に脈々と受け継がれている文化芸術は、郷土への誇りと愛着を深め、アイデンティティーを形成するものであり、また、コミュニティーの連帯感を強めることから、地域づくりを進める上では大きな役割を果たすものと思います。  こうした観点から、例えば、私の地元のアートな伴クラブでは、神武天皇ののろし伝説を題材とした創作神楽、火山の製作に取り組まれ、沼田地区のコミュニティーの連帯感の強化などに一役買っていただいております。また、児童生徒が文化財や神楽、工芸品などの文化等に触れることで、共感の涵養、豊かな感性や創造力を育むことができることから、歴史、文化芸術は、教育の面からも極めて重要であると考えています。  最近では、国内のあるIT系の研究拠点施設においては、施設内に美術品を展示し、新たな発想を促す試みがされているとのことであります。コロナ禍により物の豊かさから心の豊かさを追求する志向の変化が生まれてきている中、文化芸術等が持つ役割として、活力ある社会の実現、経済の活性化、個性豊かな地域づくりにつながることを再評価する必要があると思います。  しかしながら、新型コロナの感染拡大に伴い、地域での文化活動等が減少し、また、県立の文化施設は真っ先に閉館するなど、その継承と触れることができる機会が損なわれているのが現実です。  こうした中、私は、県立の博物館や文化施設等のホームページを拝見させていただきました。正直に申し上げますと、工夫の努力がうかがえる一方で、とても平面的で、視覚や聴覚を刺激し人を引きつけるような視点が見られないことに残念な思いをした次第です。中には、地域の祭りや伝統芸能等をまとめた、ひろしま文化大百科というすばらしいコンテンツもありましたが、その中で紹介されているユーチューブ動画は、九年前から更新されておらず、視聴回数も多いもので二千程度というものであります。  文化は道をつくると私は思います。私は、博物館や文化施設等のホームページは、文化芸術の入り口であるだけでなく、そこで興味を持った方が地域に足を運ぶことにつながる地域への道の入り口でもあると考えています。少なくとも今のホームページのつくりは、いざない、招き入れるようなものになっていないと言わざるを得ません。世の中の多くの人がスマートフォンを持ち、児童生徒にはタブレットが配られる時代において、人々の興味を引きつけ、探求心をくすぐるような工夫が必要なのではないでしょうか。  現在、県では、県民の暮らしをより便利で快適なものに変えていくことを目指して、産業分野を中心にDXの推進に取り組んでいますが、民間の手が入りにくい地域の文化芸術等の分野においてこそ公共として取り組む必要があると思います。例えば、ホームページをまとめ、広島の歴史、文化芸術バーチャル博物館と銘打ってホログラムによる展示品の鑑賞やVRを活用したみよし風土記の丘の散策、AI学芸員による質問コーナー、県の取り組まれているバーチャル空間でプロスポーツを応援するバーチャルワールド広島のようなデジタル技術を活用した歴史、芸術文化に触れ、地域で文化活動等をされている方との交流が図れる仕組みの構築など、いろいろなことが考えられると思います。  ぜひ、冒頭で申し上げた不易流行の視点に立ち、今申し上げたホームページのデジタルコンテンツの充実を含め、地域の歴史、文化芸術分野におけるDXの推進を図っていただきたいと思います。知事の御所見をお伺いします。  最後の質問は、広島高速四号線延伸の早期完成に向けた取組についてお伺いいたします。  広島高速四号線──市道広島西風新都線は、広島市の中広出入口から沼田出入口へ至る約四・九キロメートルの自動車専用道路として平成十三年十月に開通いたしました。  広島高速四号線の供用により、都心部と山陽自動車道五日市インターチェンジのアクセスが向上し、国道二号西広島バイパスや国道五十四号等の交通混雑の緩和が図られるなど、県北西部を含め、広域的に多大な効果を発揮しています。しかし、五日市インターと広島高速四号線の間は、一般道を利用せざるを得ない状況となっていることから、沼田側の大塚駅北交差点は、西風新都の住民に加え、広島高速四号線と山陽道を行き来する車で、ラッシュ時には慢性的に渋滞が発生しており、供用開始からはや二十年が経過する中、長年の懸案となっています。  その課題解消のため、我が会派をはじめ多くの議員から、この間、広島高速道路の基本計画に位置づけられている広島高速四号線を延伸し山陽自動車道につなげる事業について、早期着手の必要性に関する質問が投げかけられてきました。これに対し県の答弁では、県内外の地域間の連携、交流を支える広域道路ネットワークの強化を図り、広島都市圏の交通機能強化を図る上でも接続は非常に重要な事業であるとの認識の下、その計画の具体化については、社会経済情勢やその事業効果、将来交通量に基づく採算性などについて、国、県、広島市などで構成する広島周辺幹線道路網整備連絡協議会において、早期事業化に向けた検討を進めるとのことでありました。  こうした中、先月、事業に本格的に着手するとして、広島市の来年度当初予算案に二千七百五十八万円が計上されたことについては、驚きと同時に長年の懸案解消に向けた事業がようやく動き出すことに期待に胸が膨らんだところです。しかし、よく聞けば、本格的にと言っても、選択された広島高速四号線を一キロメートル延伸して山陽自動車道に最短距離でつなげる直結案について、関係機関と安全面に係る協議を進め、その後、環境影響評価の手続に着手する、また、同程度の工事実績では、供用開始までに最短でも十二年かかるとも言われていることから、その効果を実感するまでには、まだまだ多くの方々の協力と予算、そして時間を要するという状況であります。  そこで、多方面から期待される本事業の一日も早い完成に向け、県として関係機関と連携しながら県民の理解の下、機運を高め、事業が着実に進むよう取り組んでいただきたいと考えます。具体的な役割分担や今後の見込み、そして知事の事業に対する意気込みについてお伺いいたします。  以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴いただき、誠にありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、グレートリセットに対する認識などについての御質問にお答えいたします。  コロナ禍で、より顕在化した従前から続く経済格差や社会的分断など、グローバルで進む構造的な課題などを克服し、持続可能で公平な新しい社会経済システムを創造していかなければならないという理念の下、世界経済年次フォーラム、いわゆるダボス会議の二〇二一年のテーマとして、グレートリセットが掲げられました。  本県におきましても、加速度的に進む人口減少や頻発する大規模災害、新興感染症の発生、格差社会の懸念など先行きが不透明な時代にあっても、将来にわたって持続可能な広島県づくりが必要であることから、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」では、おおむね三十年後を構想した上で、県民の皆様お一人お一人が安心の土台と誇りにより、夢や希望にあきらめることなく挑戦できる社会の実現を目指すこととしております。  また、新型コロナ危機は、東京圏への過度な人口、産業の集中等による感染症や大規模災害へのリスクなど日本が抱えている構造的な課題を改めて顕在化させ、分散がもたらす価値に気づきを与えました。  一方で、日本が持続的に発展し続けるためには、多様なイノベーションを生み出す知の集積や集合も必要であることから、ひろしまビジョンでは、分散や集中の二者択一的な選択ではなく、適切な分散と適切な集中という新たな価値観に基づく広島県を創造していくこととしております。  また、全ての子供が生まれ育った環境の違いにかかわらず、健やかに育ち、夢を育むことができる社会の実現に向け、生涯にわたる人格形成の基礎を培う乳幼児期の教育・保育の充実に取り組むとともに、一人一人の多様な個性・能力をさらに伸ばす個別最適な学びなど、これからの社会で活躍するための資質・能力の育成を目指した主体的な学びを促す学びの変革を進めることとしております。  こうした考え方は、持続可能で公平な社会経済システムを創造するというグレートリセットの理念と同じ方向性であると認識しております。  令和四年度当初予算案では、新型コロナウイルス感染症への対応やアフターコロナを見据えた社会経済の発展的な回復とともに、ひろしまビジョンの目指す姿の実現に向けた取組のうち、特に、適散・適集社会の実現やデジタル技術を積極的に活用した取組の推進、激甚化、頻発化する気象災害等への対応など、新型コロナ等によって顕在化した構造的な課題などへの対応を加速することといたしました。  これらの課題に果敢にチャレンジし着実に克服することが、コロナ禍によって傷ついた県民生活や地域経済の一日も早い回復や、ビジョンの掲げる将来も持続可能な広島県の実現につながるものと確信しており、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、女性や若者等の就農促進についての御質問でございます。  女性や若者をはじめとする幅広い人材に農業を職業として選択していただくためには、スマートな働き方の推進や夢が描けるビジネスの展開を図ることにより、農業の魅力を高めるとともにその魅力を伝えていくことが重要であると認識しております。  このため、スマートな働き方の推進に向けましては、今年度から自動搬送ロボットを活用した作業の省力化やAI搭載のスマートグラス装着による労働時間の短縮など、スマート農業技術を開発するプロジェクトを三つのフィールドで開始したことに加えまして、県立農業技術大学校におきましても、若者がより魅力的な農業を実践できるようDXを取り入れたカリキュラムを導入しているところでございます。  また、夢を描けるビジネスの展開につきましては、若い人材が将来のキャリアアップを図れる人事評価制度の導入や、清潔で安全に働くことのできる環境づくりに向けた生産工程の見直し等に取り組む経営体に対し、専門家派遣などの支援を行っており、その結果、新たな仕組みを導入した経営体におきましては、働き方改革により生まれた時間を使って自らのスキルアップを図ることや企画部門に参画するなど経営に携わることにより、社員のモチベーションが向上した事例も生まれてきております。  引き続き、様々なひろしま型スマート農業技術の開発や社員が生き生きと働ける経営体の育成を図るとともに、新たな取組として、ポストコロナの社会環境変化に対応しながら農業経営体が稼ぐ力を高められるよう、来年度から食のイノベーション推進事業により、農業経営体と飲食事業者などの様々な企業が連携して新たなビジネスを創発するプロジェクトを推進してまいりたいと考えております。  また、こうした取組や成果を知ってもらい、興味を持ってもらうことが重要であることから、農業技術大学生によるインターンシップや農業関係高校における交流体験などのほか、市町やJAグループと連携して新規就農者の事例を紹介する農業応援サイトでの発信、首都圏や関西での就農応援フェアなどを継続して実施してまいります。  今後とも、女性や若者をはじめとする幅広い人材が未来の農業にチャレンジできる環境を創出することで、本県農業の活力を高めてまいりたいと考えております。  次に、里山林の公益的機能の維持に向けた取組についてでございます。  本県では、森林を県民共有の財産として守り育て、健全な状態で次の世代へ引き継ぐため、ひろしまの森づくり県民税を活用して、平成十九年度から三期十五年にわたり、ひろしまの森づくり事業を実施し、手入れ不足の人工林の整備や放置されて環境が悪化している里山林の整備などに取り組んできたところでございます。  このうち、里山林対策につきましては、防災・減災などの地域課題の解決に向けた里山林整備を約三千六百ヘクタール実施したほか、地域住民が主体となって里山林を活用する取組を支援してまいりました。  一方、第三期を検証する中で、地域住民などの活動に広がりがないことや市町の間で整備面積に差が生じていることのほか、地域が抱える潜在的な課題に対応できる体制ができていないなどの新たな課題が浮き彫りになったところでございます。  このため、次期推進方針では、これまでの取組に加え、各市町に設置しておりますひろしまの森づくり推進協議会の下に地域住民や専門家などで構成される検討部会を新たに設置し、住民意見などを反映させて里山林の整備を推進する体制を構築することで、地域が抱える潜在的な課題を具体化し、その解決につなげてまいりたいと考えております。  また、今年度実施した県民の皆様へのアンケート調査結果によると、森林に最も期待する役割として土砂崩れなどの山地災害の防止が挙げられているように、県土の保全など森林の公益的機能の恩恵は県民の皆様に広く及ぶことから、ひろしまの森づくり県民税は、県民全体でひとしく分担するという考え方に基づいて課税しており、年間八億円を超える税収が、第三期までのひろしまの森づくり事業を実施するための貴重な財源となってまいりました。  第四期のひろしまの森づくり事業におきましても、森林を県民全体で守り育てる施策を推進するためには、引き続き安定した財源の確保が必要であり、これまでと同様に県民の皆様に負担をお願いしたいと考えているところでございます。  今後とも、県民の皆様の御理解を得ながら、里山林の環境改善や豊かな資源の有効活用などの適切な森林管理に県民全体で取り組む県民参加による森づくりを進めてまいります。  次に、広島高速四号線延伸の早期完成に向けた取組についてでございます。  広島高速四号線の延伸区間につきましては、高速道路ネットワークのミッシングリンクを解消し、広域的な連携強化や広島市中心部へのアクセス向上を図る上で重要な役割を担っており、広島高速道路の基本計画に位置づけられた路線でございます。  平成二十五年五月に開催した広島市長との会談におきまして、その整備について早急に取り組むべき課題であるとの認識を共有いたしました。それを踏まえ、道路管理者である広島市が主体となり、県も積極的に関与しながら国、県、市、NEXCO西日本、広島高速道路公社の関係機関におきまして、具体的なルートや整備効果等の検討を進めてきたところでございます。  このたび、広島市の令和四年度当初予算案におきまして、都市計画決定の手続に向けた調査費が計上されたところであり、引き続き、関係者間で協議を行いながら、広島市において所要の手続が進められる予定と伺っております。  また、今後の事業化に向けましては、都市計画決定後に広島高速道路の整備計画変更に係る県、市の同意について、それぞれの議会にお諮りした上で、国土交通大臣の許可を受けるという手順で進めることとなっております。  県といたしましては、引き続き、広島市など関係機関と連携し、県内外の地域間の連携・交流を支える広島高速四号線の延伸につきまして、早期の事業着手に向け取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長中本隆志君) 農林水産局長佐伯安史君。         【農林水産局長佐伯安史君登壇】 7: ◯農林水産局長佐伯安史君) マツタケ生産量日本一の奪還に向けたアカマツ林の整備促進についてお答えいたします。  マツタケは、常に人が手入れを行い、落ち葉などが堆積していない健全なアカマツ林で発生するものであり、森林の持つ公益的機能の維持・発揮の観点からも、手入れがされずに荒廃した里山のアカマツ林を再整備することは、重要な取組であると認識しております。  里山のアカマツ林が荒廃する要因といたしましては、まきや木炭の需要減少に伴い里山林を整備する機会が減ったことや、松くい虫被害の蔓延による松枯れなどが考えられているところでございます。  このため、これまで、ひろしまの森づくり県民税を活用して、環境悪化や土砂崩れのおそれ、鳥獣被害などの課題のある地域を中心に地域住民が一体となって実施する森林保全活動への支援を行うなど里山林の保全管理に取り組んでまいりました。  また、松枯れの防除対策として、松くい虫被害木の伐倒処理や健全な松への薬剤注入に加え、アカマツ林の再生に向けた抵抗性のある松の植栽などを進めてきたところでございます。  一方、里山林の荒廃や松くい虫被害の拡大が急速に進んだため、県内のマツタケ生産量は減少の一途をたどり、昨年度の実績は、〇・二トンとなっております。  こうした状況を踏まえ、第四期のひろしまの森づくり事業では、これまでの取組に加え、各市町へ新たに設置する検討部会において、地域住民や専門家の意見などに基づき、荒廃する里山のアカマツ林を地域ぐるみで再生するプロジェクトの立ち上げの検討などを支援してまいります。  今後は、市町と地域住民が協働して取り組む荒廃した里山林の整備に県も積極的に関わり、マツタケの生育環境にも適した豊かな森づくりを目指してまいります。 8: ◯議長中本隆志君) 環境県民局長新宅郁子君。         【環境県民局長新宅郁子君登壇】 9: ◯環境県民局長新宅郁子君) 地域の歴史、文化芸術分野におけるDXの推進について、複数部局にまたがるお尋ねでございますが、私が代表してお答えいたします。  デジタル技術は、距離や時間にとらわれずに地域の歴史や文化芸術に触れる多様な機会の提供を可能にするとともに、貴重な有形無形の歴史・文化資源の精緻なアーカイブ化を実現させ、保存、継承、発展に資するなど、その活用の有用性はますます高まっているものと認識しております。  本県では、これまで、「ひろしま文化・芸術情報ネット」を通じた県内の豊富な文化資源などの一元的発信をはじめ、県立美術館や縮景園のホームページ上において、所蔵作品のバーチャル展示や庭園のバーチャル散策、県立歴史博物館でのVR技術を利用した中世の船への乗船体験などの先進的なコンテンツの整備にも取り組んでまいりました。  また、コロナ禍においては、ウェブ上で作品募集から展示までを行うウェブ公募美術展の開催、県立美術館でのSNSを活用した学芸員によるトークイベント、縮景園での邦楽オンラインコンサートの動画配信、歴史民俗資料館による小学校へのオンライン出前授業など時宜を得たデジタルコンテンツの提供に取り組んでいるところでございます。  こうしたコンテンツをより多くの方に御覧いただくためにも、効果的なPRを図るとともに、さらなる質の充実などに努めていく必要があると考えております。  県といたしましては、来年度から県内の公立文化施設間の協働を推進するためのネットワーク体制を新たに構築し、デジタル技術を活用した地域文化の効果的な発信やコンテンツの充実についても検討を進めてまいります。  一方で、人間の五感に働きかける文化芸術などにおいては、実際の物理的な空間でのみ享受できる価値もあることから、歴史や文化芸術の分野におけるDXを推進しつつ、デジタルとリアル双方を融合させながら地域の豊かな歴史や良質な文化芸術に親しむことができる機会の充実を図ってまいります。
    10: ◯議長中本隆志君) 会計管理者(兼)会計管理部長城田俊彦君。         【会計管理者(兼)会計管理部長城田俊彦君登壇】 11: ◯会計管理者(兼)会計管理部長城田俊彦君) 公共調達による経済対策についてお答えいたします。  県が発注する物品や業務委託、工事等の公共調達について県内企業が受注することは、地域経済への波及効果の観点から重要であると認識しております。  このため、平成三十年一月には、物品調達、業務委託などの入札参加資格において、事業所所在地を要件として定めることや総合評価落札方式において、地域貢献の実績を評価対象とするなど、地域要件の設定が可能であることを示すとともに、物品につきましては、県産品を優先調達すること、県産品がない場合にあっても県内の代理店、販売店から当該物品を調達することなど県内企業の受注機会の確保を図るよう通知したところでございます。  さらに、令和二年七月には、新型コロナウイルス感染症の影響により、本県経済は厳しい状況が続いていることから、公共調達における地域性への配慮について、再度、全庁に周知したところでございます。具体的な取組といたしましては、インターネット通販を活用した物品調達に係る事業者を選定する場合において、供給体制に県内企業の参画を必須としたほか、県庁の耐震化に伴う庁用事務机等の更新において、県産木材の使用を要件とし調達した事例などがございます。  引き続き、公共調達に当たりましては、競争性と公平性の下、地域性にもしっかりと配慮し、県内企業が受注機会を確保できるよう全庁的に取り組んでまいります。 12: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 13: ◯教育長平川理恵君) 利他の心を育む教育の推進についてお答えいたします。  学校におきましては、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目指して、道徳科を中心に教育活動全体を通じて道徳教育を行っております。具体的には、各学校では、道徳科において、思いやりについて考えを深める際に、家での手伝いや地域での清掃ボランティアなどを家庭や地域での実践と結びつけることにより、児童生徒一人一人に、進んで他者のために行動しようとする心情を育てております。  このほか、総合的な学習の時間の活用により、例えば、坂町立小屋浦小学校では、地域の高齢者に早めの避難を促すメッセージを添えたハザードマップを作成するなど、他者を思いやり行動する心を育てております。また、広島商業高等学校では、商業研究部の活動におきまして、コロナ禍で大量廃棄される花を定期・定額販売するシステムを発案し、花業界の活性化に取り組むなど、他者と共によりよく生きる、いわゆる三方よしにつながる社会貢献の精神を育てております。  県教育委員会といたしましては、こうした利他の心を育む様々な取組を県内の全ての校種に幅広く紹介する中で、次代を担う児童生徒に自他の敬愛と協力を重んずる態度を育む教育活動に、一層力を尽くしてまいります。 14: ◯議長中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 15: ◯副議長小林秀矩君) 出席議員五十八名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。中原好治君。         【中原好治君登壇】 16: ◯中原好治君 皆さん、こんにちは。民主県政会の中原好治でございます。まずは、こうして質問の機会をお与えくださいました中本議長、小林副議長、そして先輩、同僚議員の皆様に深く感謝を申し上げます。  質問は前回に引き続き、一括質問方式で行わせていただきますが、再質問の必要のないような明快で前向きな御答弁を期待いたしまして早速質問に入らせていただきます。  まず、災害対応に関する現状と課題についてお聞きします。  来月三日から五日までの三日間の日程で、第二十七回日本災害医学会総会学術集会が広島県で初めて開催されます。全国から二千五百人もの方が参加予定ですが、まん延防止等重点措置の延長の期間中であることから、リモートと対面のハイブリットで開催されると聞いております。  平成七年の阪神・淡路大震災、平成二十三年の東日本大震災、平成三十年の西日本豪雨、令和二年の熊本豪雨、そしてダイヤモンド・プリンセス号に端を発した新型コロナウイルスの猛威は人々の暮らしはもとより、医療、経済にも甚大な影響を及ぼしました。  学会では、これらの災害から浮かび上がる多くの課題を新しい視点から捉え直し、災害医療のパラダイムシフトを起こすというミッションを設定しています。医療・保健活動で攻め、避難所対応で住民を守り、災害研修や訓練で人を育てる、多分野にわたる研究の成果が共有され、最先端の災害対応が提言されるものと期待いたしております。  そこで、広島県の災害対応に関する現状と課題について、五点の質問をさせていただきたいと思います。  一点目は、災害医療における本県の課題と今後の対策についてです。  災害時における医療は、災害発生時に、災害の種類や規模に応じて利用可能な医療資源を有効活用することと、平時から災害を念頭に置いた関係機関による連携体制をあらかじめ構築しておくことが求められております。  国においては、幾度となく想像を超えてきた災害を検証し、災害医療の提供体制をその都度アップデートしてきました。例えば、阪神・淡路大震災を契機に、災害拠点病院やDMATなどが整備され、東日本大震災を踏まえて、災害時の精神保健医療や小児・周産期医療なども見直しが行われております。  さらに本県では、平成三十年西日本豪雨の際、発災直後から多岐にわたる保健医療活動チームが医療救護活動に従事するとともに、県外からも多くの支援チームに参集していただいた受援者側としての経験があります。  後日行われた、初動・応急対応に関する検証結果の医療・救護の項目では、災害急性期のDMATの活動から、亜急性期の保健医療チームへの引継ぎが円滑に行われなかったことや、災害拠点病院以外の医療機関では、EMISがうまく活用されなかったことなど、当時の具体的な対応状況や課題が整理、分析されております。  こういった反省点に加え、今回のコロナ禍により、感染症流行時の医療救護活動といった新たな問題も浮き彫りになりました。  そこで、本県の災害時における医療体制について、現在の課題をどのように認識し、どう克服しようとされているのか、知事の御所見をお聞きいたします。  二点目は、広島デルタにおける建物耐震化の状況についてお聞きします。  阪神・淡路大震災の際、木造建物や耐震基準を満たさない建物の倒壊で、多くの人命が失われるだけでなく、大事な道路機能も失われるという事態になりました。以来、建物の耐震化は防災上の大きなテーマになっております。  平成二十五年、南海トラフ地震の甚大な被害想定結果を受けて耐震改修促進法が改正され、緊急輸送道路等の避難路沿道建築物や庁舎、避難所等の防災拠点建築物等の所有者に、地方公共団体の指定による耐震診断の実施の義務づけが可能となりました。  市街地全体の耐震化が大事な課題ですが、まずは多数の方の避難や県内外からの救援・救護活動のために必要不可欠な緊急輸送道路を確保するという動きです。  県においては、国の基準に基づいて耐震診断費用を補助する制度を用意するなど、この間の重点的な取組により、「第二期広島県耐震改修促進計画」で耐震診断の実施を義務づけた路線の広域緊急輸送道路沿道建築物は、その九六・四%が耐震診断を実施しております。  そして次の課題は、耐震性が不足している建物の耐震化なのですが、第三期計画によると、令和二年度末時点で耐震化が済んでいる建物は九・一%であり、残りの約九割が耐震改修の行われていない状態だということになります。  ここで私が心配なのは、都市災害による人的被害の危険性が非常に高い広島市、特に中枢拠点機能が集積している太田川により形成された三角州である広島デルタです。  広島デルタでは、国道二号や広島高速三号線などが該当すると思われますが、広域緊急輸送道路沿道建築物の耐震化はどれくらい進んでいるのか、また、令和七年度末におおむね解消するため、どのように耐震改修を促していくのか、知事の御所見をお聞きいたします。  三点目は、浸水想定区域内の避難所についてお聞きします。  先日、中国新聞で気になる記事を目にしました。内閣府が行った全国調査で、指定避難所のうち、三割が風水害による浸水想定区域に立地していることが分かったというものです。この調査は、令和二年の熊本豪雨により発生した熊本県の球磨川の氾濫により、多くの指定避難所が浸水した事例を受けて実施されたものであり、その結果を踏まえて、指定避難所の立地状況を念頭に置いた適切な開設や、防災機能設備等の強化に関する通知がなされております。  さて、県内の避難所の状況はどうかと申しますと、指定避難所二千四十七か所に対して、浸水想定区域内に立地するのは四百七十二か所の二三・一%となっていました。  ここでも広島デルタにこだわらせていただきますと、高潮や津波は別にして、太田川が氾濫してデルタ域が浸水するというケース、これは私が生まれてから一度も記憶にございません。これは間違いなく太田川放水路のおかげだと感謝しております。広島市内のデルタ域は潮の干満の影響が縮景園辺りまであるということからも、実際は海に浮いている状態、川は運河と同じだと考えてもいいと思います。  しかし、近年の集中豪雨やゲリラ豪雨といった想定外の雨量が上流部分で発生すると、放水路や他の五本の川の決壊も想定し得る未来として対策する必要があると考えております。  そこで、太田川上流域でどの程度の雨量があると氾濫のおそれがあるのか、放水路や他の五本の川のどの部分で氾濫のおそれがあるのか、そして、想定される浸水被害に対する国、県、市の役割と現状及び対策について、知事に御所見をお伺いします。  また、広島デルタ内の避難所の状況について、浸水域にある避難所はどれくらいあるのか、さらに、私の住んでおります宇品地域でも進められておりますが、広島市が地域や高層建物の所有者と協定を結んで避難先とする取組について、広島デルタ域の現状はどうなっているのか、併せてお聞きいたします。  四点目は、災害医療の拠点化に向けた検討についてお聞きいたします。  現在、広島都市圏において、全国トップレベルの高度医療を提供する機能や、医療人材を育成・供給する機能を持つ高度医療・人材供給拠点の整備に向けた検討が進められております。  どのような機能を持った拠点をどのような形で整備していくかについては、今まさに広島県地域保健対策協議会などで議論されているとのことですが、拠点の目指す姿や期待される役割において、災害医療という視点は非常に重要です。  先ほども、災害医療における本県の課題とその克服方法についてお聞きしましたが、私は、その鍵を握るのは災害拠点病院だと考えております。  昨年、九月定例会でも、我が会派の稲葉議員が災害拠点病院の浸水対策について質問しましたが、災害医療の中心的な役割を担う災害拠点病院の機能強化は、そのまま県の災害医療体制の強化につながります。そして、災害拠点病院の機能を強化するための訓練・研修機能を担い、災害医療に関して都道府県の中心的な役割を果たしているのが基幹災害拠点病院となります。高度な医療を提供し、人材を育成・供給する拠点こそ、こういう機能を持たせるべきではないかと思っております。  そこで、県の災害医療体制の充実強化を図るため、高度医療・人材供給拠点に災害医療の拠点としての機能を検討すべきと考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。  五点目は、BCPの策定状況についてお聞きします。  BCPとは、リスクに備えるための事業継続計画、つまり自社に影響を及ぼす災害、事故に遭遇しても重要業務を中断させないという経営戦略のことを言います。  東日本大震災以降、このBCPの策定が注目されてきました。  株式会社帝国データバンク広島支店が昨年五月、広島県内に本社を置く企業に対して実施したBCPに対する企業の意識調査では、回答のあった二百六十七社のうち、BCPを策定済みの企業は僅か一四・二%にとどまっておりました。これは、全国平均の一七・六%を三・四ポイント下回っており、本県の一般企業はBCPの策定が遅れていると言わざるを得ません。  本県では、平成三十年七月の豪雨災害における交通遮断等により、経済に大きな打撃を受けたのは記憶に新しいところです。その後、策定された災害復旧・復興プランには、県内企業の事業継続に向けた計画の状況を検証し、ニーズに応じた支援策を検討、実施することで非常時に強い企業活動の体制整備を進めると取組方針が掲げられており、県も、県内企業のBCP策定を支援したり、専門家によるセミナーやBCP策定講座を開催されております。  そこで、帝国データバンクによる県内企業への調査結果を県はどのように受け止めているのか、また、県は一般企業におけるBCP策定の全県的な普及拡大に向けて、具体的にどのような目標を設定し、その達成に向けてどう取り組んでいくのか、併せて知事の御所見をお聞きいたします。  次に、「暁の宇品」から読み解く広島の歴史についてお聞きいたします。  ここで再度、広島で開催される災害医学会のことですが、幾つかある主要演題の中に昨年七月に出版された、暁の宇品の著者堀川惠子さんの講演があります。暁の宇品は、私がどうしても知りたかった宇品に拠点を置いた陸軍運輸部の歴史を初めて克明に捉えた作品で、先日、大佛次郎賞も受賞されました。  災害医療を幅広く捉えると、どうしてもロジスティクスという面から様々な事象を捉え直してみる必要があります。  そこで、時間軸を戦前まで戻し、空間軸は当時の日本及びアジアまで大きく拡大したときに見えてくる実像、それは太平洋戦争ですが、特にロジスティクスという点において、広島が大変重要な役割を果たしていたという事実が明らかになってまいります。  私は、この暁の宇品を読んで、今まで持っていた先の戦争に対する先入観や事実認識が大きく変わっていきました。そのことを以下箇条書で御紹介したいと思います。  一、太平洋戦争中に撃沈された輸送船は七千二百隻以上、出征した船員の二人に一人、六万六百四十三人が命を落とし、その船舶を徴庸し、コントロールしていたのが宇品の陸軍運輸部で、船員や工員ら軍属を含めると三十万人を超える大組織だったこと。  二、その陸軍運輸部は金輪島で世界に先んじて上陸用舟艇を独自開発し、一九三二年の第一次上海事変では、揚陸施設のない地点に師団規模の部隊を送り込む、上陸作戦においてイノベーションを起こし、その後の南方進出までは大きな成果を上げていたこと。  三、その上陸用舟艇の開発過程で後にマツダが開発に成功するロータリーエンジンの設計図がドイツから持ち帰られていたこと。  四、一九三九年に着工する工業港計画も陸軍運輸部の強い関与で実現し、現在、三菱重工やマツダが操業している観音、江波、楠那、さらに吉島、出島、海田と埋立てが進んでいったこと。また、軍人以外の運輸部の人員も治療が優先的に受けることのできる病院が宇品地区に必要となり、陸軍共済組合から基金を拠出させ共済病院を設立、これが現在の県立広島病院になっていること。  五、対米開戦や南方作戦実施という重要な意思決定において、物的国力のベースとなる船舶量を希望的観測や統計改ざんでつじつまを合わせながら、最後は何とかなるで押し切っていたこと。  六、太平洋の戦場において日本軍は艦隊決戦を基本に、輸送艦は見逃し軍艦を狙ったが、米軍はその逆で、徹底して無防備の輸送艦に攻撃を集中していたこと。  七、八月六日の被爆直後、市内は放射能に汚染されていることを知りながら通称暁部隊、陸軍運輸部のことですが、戦闘司令所を市役所に移し、数千人の部隊を上げて救援救護、復旧に当たったこと。  八、広島が原爆の標的として選ばれた理由は、重要な軍隊の乗船基地だったこと、すなわち宇品の陸軍運輸部の存在が大きかったこと。  そして最後に、船舶の神と呼ばれた陸軍運輸部の司令官田尻昌次陸軍中将が自叙伝に残した記述、これは暁の宇品の最後に引用されておりますが、これを紹介したいと思います。    四面環海のわが国にとって船舶輸送は作戦の重要な一部をなし、船舶なくして作戦は成立しえなかった。船舶の喪失量が増大するにつれ、作戦は暫時手足をもがれ、国内の生産・活動・戦力を喪失し、ついに足腰の立たないまでにうちのめされてしまった。兵器生産資源及び食糧の乏しいわが国がこのような大戦争に突入するにあたりては、かかる事態に遭遇するの可能性について十分胸算用に入れておかねばならぬ重大事項であった。(略)もし再び同様の戦争が起きるならば、わが国は一年もたたぬうちに大戦末期の状態に陥ることであろう。  暁の宇品という作品を通して、今回指摘させていただいたこれらの事実は、被爆以前の広島が果たしてきた役割やその世界史的意義を再確認し、また、現在にもつながる貴重な教訓や財産を後世に伝えていく必要性を感じさせます。  そこで、こうした被爆以前の広島近代史の意義について、私は県として研究していく必要があると考えますが、御見解をお聞きしたいと思います。  二点目は、広島の近代史を考える上でもう一つ大変重要な視点、移民の歴史についてです。  このことは、昨年の決算特別委員会でも指摘させていただきました。  広島県民の海外移民は、明治十七年から始まった宇品港の建設工事によって漁場を奪われた黄金山周辺、仁保、丹那のノリ養殖業者たちが、ハワイに移民することでスタートしております。  私自身も平成二十四年にハワイ、平成二十七年にブラジル、令和元年にメキシコ、ペルーと交流事業に参加させていただいて、移民の皆さんの広島県への熱い思いを感じさせていただくと同時に、世代が進んでいく中でその思いが風化していくのではないかという危惧も抱きました。広島県の移民の歴史を掘り下げ、貴重な資料等を収集し展示していくと同時に、そのネットワークを生かして人材育成や海外ビジネスにつなげていく、最後のチャンスになるのではないかと思っております。  現在、利活用策が検討されている旧陸軍被服支廠は、まさに広島の近代史の遺産とも言える貴重な建築物であります。  そこで、先ほど申し上げたとおり、こうした被爆以前の広島近代史の意義について、県として研究していく必要があると考えますが、知事の御所見をお聞きいたします。  また、旧陸軍被服支廠を被爆以前の広島近代史及び海外への移民の研究や展示等の拠点とすべきではないかと思いますが、被服支廠の利活用策の提案に関しまして、知事の御見解を併せてお聞きいたします。  次に、広島港の将来ビジョンについて、三点お聞きします。  一点目は、広島港の整備計画についてです。  最近、広島高速五号線の建設現場から残土を運ぶトラックを自宅のある宇品界隈でよく見かけるようになりました。東京からの公共残土を継続して受け入れていましたが、本格的な土地造成に入っているようです。計画では令和四年度の一部完成を目指すとされていますが、完成後は物流用地の段階的な造成を行うとしています。  また、旅客ターミナルを終点とする市内電車も三工区まで延伸し、車庫を含めた拠点整備を行うともお聞きしております。そうなると、新たな商業施設の誘致といった、にぎわいづくりも本格的に進めていく必要がありますし、地元の民間事業者や地域団体とも連携したまちづくりも考えていかなければなりません。  そこで、今こそ、国際的な物流機能の拡大傾向も追い風に、広島港の夢のある将来ビジョンを県民に示していく好機だと思いますが、知事の御所見をお聞きいたします。  二点目は、広島港への交通アクセスについてお聞きします。  私は平成十七年の十二月定例会におきまして、広島高速三号線の整備に関連して、広島市は自動車専用道路の太田川渡河部を、国はその他の街路部分をそれぞれ担って、無料の道路、街路を整備するわけですから、私はこの宇品─吉島間の橋は県が架けてもいいぐらいだと思っている。せめて、その利用料金を下げるぐらいの努力をされたらどうかと質問しました。  あれから十七年、広島高速三号線は完成しましたが、当初の整備目的である、県民の日常生活に支障を来している慢性的な交通渋滞の解消や広域都市圏の物流活動などの抜本的な改善を図るところまではいっていないと思っております。  やはり、広島都市圏における渋滞解消という意味で重要なのは、有料道路である高架部分ではなくて、むしろ、その下の街路部分であるという当時の認識に間違いはなく、商業施設の集積が進み、高層マンションの立地も進んだ宇品地区の渋滞解消は進んでおりません。  広島港の将来ビジョンのキーワードである物流機能とにぎわいづくりという観点からも広島都市圏西側に向けた交通アクセスの円滑化は非常に重要だと思っております。  そこで、今後、さらなる発展が見込まれる宇品・出島地区の港湾機能を最大限に発揮するため、現況及び将来の交通量をしっかりと予測した上で、国や広島市等の道路管理者とも連携し、必要に応じて新たな道路整備や既存ストックの有効活用を図るなど、背後のアクセス環境の充実に適切に取り組んでいただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  三点目は、広島港関連で出島地区廃棄物処分場についてお聞きいたします。  出島処分場については、見込んでいた埋立量を確保できず、十年間の廃棄物受入れ期間である令和六年六月までに埋立てを終了することがほぼ不可能となっています。その原因は、リサイクルの進展に伴って最終処分量が年々減少し、供用開始当初から埋立量が見込みを大幅に下回ったためと説明がございました。  ここ数年の動きを見ても、再生利用量は徐々に増加、最終処分量は年々減少しています。  県として、循環型社会の実現に取り組んでいく上での事象ですが、搬入期間十年という地元との協定を考えると処分場への搬入量を増やす努力も不可欠です。
     事業期間の延長を含めた今後の対応については、地元代表者で構成する出島協議会などで協議されておりますが、実現性のある今後の埋立て見通しを提示するとともに、地元の意見を丁寧に伺いながら、地域振興策の充実も含めた合理的な解決策を導き出していただきたいと思っています。  そこで、出島処分場への今後の埋立量の確保の見通しと地元調整の進捗状況について、知事にお聞きいたします。  質問の第四は、持続可能な地域公共交通の実現についてお聞きします。  県は新年度予算において、広島県地域公共交通ビジョン策定事業として、県、市町、交通事業者、利用者など関係者が県全域を対象とした地域交通政策のマスタープランを策定するとされております。  地域公共交通機関は、人口減少と高齢化、コロナの直撃も受け、利用者が減少しているとともに運営コストも増加傾向にあり、持続可能な公共交通の実現のためには、県や市町が積極的に主要な路線の維持に向けて対策を行っていく必要があります。  広島都市圏におきましても、廿日市市や安芸郡四町など市外から中心部に入っていくバス路線などは、それぞれの市町単独では対応できません。これら周辺部からのバス路線につきましては、フィーダー化と待合環境の整備等、交通拠点の再整備が大きな課題となっています。  しかし、複数の民間事業者が関係する路線を再編し、乗り継ぎを促進していこうとすれば、運賃が割高になったり、待ち時間が長くなったりする点を改善しなければなりません。また、中山間地域における市町を超えた路線バスの維持も、効果的な国、県の補助制度の活用等、県の積極的な関与が必要です。  今回の事業はこうした課題の克服に向けた第一歩だと思いますが、どのように具体的に進めていくのか、知事の御所見をお聞きいたします。  また、県として、市町と連携しながらも主体的に公共交通の維持に取り組んでいくという姿勢を示していくためにも、このマスタープランを具現化する交通網形成計画の作成が必要だと考えますが、どのようにお考えか、併せてお聞きいたします。  最後に、保育士の処遇改善についてお聞きいたします。  岸田政権における新しい資本主義の実現に向けた分配戦略の一つの柱として、コロナ禍や少子高齢化対応の最前線で働く看護職員や介護職員、保育士などの賃金の引上げが掲げられました。  保育士の場合、今月分から一人月額九千円程度の賃上げがなされるものであり、業務量に反して給料が低いというイメージのあった保育士の賃金改善につながっていくことを期待しております。  しかし、ここで大きな不公平感を生む事態が起こっております。認可外の保育所は一部の施設を除き、賃上げの対象から外れていることです。同じ最前線で、子供の命を預かるという責任の下、同じように働いている保育士が、勤める保育所が認可外というだけで線引きされてしまうのは納得できません。  県内には令和三年四月時点で、認可保育所や認定こども園などが八百二十三施設、認可外保育施設は令和三年三月時点で三百三十四施設あり、認可外保育施設には四千四百二十二人の子供が通っております。例えば、広島市内の基幹病院である大学病院、県病院、市民病院、日赤病院では、それぞれ院内保育所に百八十四名の定員がありますが、いずれも認可外で、保育士などの有資格者四十三名が懸命に働いている現場です。医療従事者を必死で支えていこうとしているこうした最前線で働く保育士が処遇改善から外れるという事態は許されないことだと思っております。  ネガティブに捉えられることもある認可外保育所ですが、夜間・休日保育や事業所内保育といった多様化する保育ニーズへの対応など、認可外保育所が果たしている役割は大きくなっていると言えます。  また、保育士の給料やキャリアアップのための処遇改善加算において、その要件となる実務経験や在職期間に、認可外保育所の期間も含めることができるなど、国も業務内容は認可保育所と同じと認めているわけであり、専門的知識及び技術を持って、児童の保育を担う役割、子供の命を預かるという責任は変わりません。  そこで、コロナ禍や少子化対応の最前線で働いている認可外保育所の保育士についても、ひとしく賃金改善等の効果が得られるような対策を講じるべきだと考えますが、県としてどのように考えているのか、また、今後どのように対応していくおつもりなのか、知事の御所見をお聞きいたします。  以上で質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 17: ◯副議長小林秀矩君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 18: ◯知事湯崎英彦君) まず、災害医療における本県の課題と今後の対策についての御質問でございます。  近年激甚化、頻発化する気象災害や南海トラフ巨大地震等の発生に備え、災害時の医療提供体制を確保することは重要であると考えております。  こうした中で、西日本豪雨災害の経緯などを踏まえた本県の災害医療における現在の課題といたしましては、災害時の医療救護活動における関係機関との総合調整機能を強化すること、医療機関の診療機能を維持すること、災害拠点病院やDMATの強化を図ることなどが主な課題であると認識しております。  これらの課題への対応として、大規模災害等の非常時の初動・応急対応の強化などを図るため、今年度からの健康危機管理課の新設に加え、災害時の保健医療活動に係る総合調整機能を担う保健医療調整本部の機能強化に向けて、実際の災害を想定した演習形式の新たな研修を開始するとともに、大規模災害発生時の対応の指針となる災害時医療救護活動マニュアルの改訂を進め、災害急性期のDMAT活動から、亜急性期の保健医療チームの引継ぎの円滑化などを図っております。  さらに、医療機関の診療機能の維持を図るため、医療機関の事業継続計画──BCPの策定の促進に向けて、BCP未策定の病院を対象に、年三回の集合研修を開催するとともに、策定済みの病院に対しては、計画策定後のブラッシュアップ研修を実施しているところであり、非常時においても診療を継続できる体制の強化を図っております。  また、発災直後の医療救護活動の中心となる災害拠点病院やDMATの強化のため、国の補助金を活用した災害拠点病院の設備整備に対する支援、災害拠点病院の医師や看護師等の参加拡大によるDMATチーム数の増加、国の広域災害救急医療情報システム──EMISの運用訓練や、災害拠点病院やDMATをはじめとする関係機関との合同訓練の実施などにも取り組んでいるところでございます。  今後とも、災害拠点病院をはじめとする医療機関の災害対応力の強化など、災害医療体制の一層の強化に努め、県民の皆様の安全と安心の確保に万全を期してまいります。  次に、災害医療の拠点化に向けた検討についてでございます。  御指摘の高度医療・人材供給拠点につきましては、全国トップレベルの高度医療機能や医療人材の育成機能を有する新たな拠点整備に向けて、現在、医師会、広島大学、広島市及び広島県等で構成する広島県地域保健対策協議会において検討を進めているところでございます。  この新たな拠点の医療機能につきましては、救急医療や小児・周産期医療に併せて、南海トラフ巨大地震等も含めた大規模災害等の非常時にも対応できる医療体制の確保も必要であり、具体的には、多くの患者や支援者の受入れを想定した設備構造のほか、医薬品、食料、水の備蓄、非常電源などの確保、被災地の医療を確保するための医療チームの派遣などによる広域的支援の充実など、災害医療の強化策についても議論しております。  今後とも、県民の皆様の安全と安心の確保に万全を期すため、災害拠点病院をはじめとする医療機関の機能強化を図り、災害医療体制の一層の充実に努めてまいります。  次に、暁の宇品から読み解く広島の歴史についての御質問です。  歴史を学ぶということは、過去の出来事から、なぜそれが起こったのか、その理由や関係性を考えることを通じて、先人たちの経験や英知を未来に生かしていくことであると考えております。  こうした視点から、被爆以前の広島市の近代史におきましては、山陽鉄道の開通や宇品港の築港などを契機とした日本有数の軍都への成長、陸軍の被服支廠、兵器支廠、糧秣支廠などの建設による各種産業の発展とそれに伴う人口の増加、広島高等師範学校の設置に始まる教育機関の集積など、近代都市として発展してきた歴史を確認することができ、まさに現在の広島市の原型が形づくられた時期であると認識しております。  また、全国で最も多くの県民が海外へ移住している本県にとって、移民の歴史を知り、同郷の方々の生活に思いを寄せ、多くの人々に伝えることは、移民の歴史を後世に残すとともに、移民をルーツとし、海外との交流ネットワークの拠点である在外県人会との絆を深め、交流を一層活性化するために重要であると考えております。  こうした近代史を含む郷土の歴史を学ぶことは、地域のアイデンティティーや郷土愛の醸成につながる意義あるものと考えております。  現在、令和四年度末を目途として、着手しております旧広島陸軍被服支廠の重要文化財指定に向けた、建築物の価値調査におきましても、この建物が近代以降の広島市の歴史を未来に伝える建物であることを踏まえ、広島における旧日本陸軍の役割や建設当時の広島の建築技術の状況など、多様な視点を持ちながら、調査を行っていく必要があると考えているところでございます。  次に、旧広島陸軍被服支廠の活用の検討につきましては、先日開催いたしました活用の方向性に係る懇談会において、委員から、広島の戦前・戦後の歴史を知ることは、多くの方々の被服支廠に対する愛着、誇りを持つことにつながり、今後の建物の活用の検討や運営に当たっては重要であるとの意見を頂いたところでございます。  また、幅広い世代の方々が参加したワークショップの中でも、コンサートなどを開催するためのイベントスペース、子供の職業体験ができる施設などの具体的な活用アイデアが出されたほか、広島の歴史を学ぶための資料館の整備についての意見も出ているところでございます。  今後、御提案いただいた広島の近代史及び海外への移民の研究、展示等の拠点としての活用やワークショップで聴取した具体的な活用のアイデアなどを参考としながら、懇談会において、令和四年度末を目途に、実現可能性のあるアイデアを活用の方向性として、複数案取りまとめてまいりたいと考えております。  次に、持続可能な地域公共交通の実現についてでございます。  地域公共交通が抱える構造的な課題に対応するためには、交通事業者、利用者、行政といった関係者が中長期的な視点を持って、一体的に取り組むことが不可欠であり、今般、「広島県地域公共交通ビジョン」を策定することといたしました。  策定に当たりましては、学識者、交通事業者、社会福祉協議会やPTAなど利用される立場の方々、市町などが参加する協議会やワーキンググループにおきまして、丁寧に議論を行うとともに、各市町の地域公共交通会議での意見も取り入れながら、今後二年を目途に取りまとめることとしております。  具体的には、交通需要・供給面における現状分析に加え、将来予測の視点、自動運転やMaaS、脱炭素といった新技術の進展や新たな価値観を見据えた視点などを踏まえ、公共交通の目指す姿やその実現に向けた方向性といった公共交通ビジョンの骨子を取りまとめ、その後、計画期間である五年間の取組を検討してまいります。  また、広域的な交通網の形成につきましては、複数市町にまたがって運行するバス路線や生活航路などについて、このビジョンの中で、県としての考え方をお示しし、地域の実情に応じた交通再編を、市町や交通事業者と連携しながら進めてまいります。  公共交通ビジョンの策定とそれに基づく施策の実施を通して、地域公共交通の持続可能性が高まり、県民にとって必要な日常生活の移動が確保されるよう取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 19: ◯副議長小林秀矩君) 都市建築技術審議官上田隆博君。         【都市建築技術審議官上田隆博君登壇】 20: ◯都市建築技術審議官上田隆博君) 広島デルタにおける建物耐震化の状況についてお答えいたします。  南海トラフ巨大地震などの地震による災害から県民の生命と財産を守るため、災害時における広域的な避難や救護活動、救援物資の輸送ルートである広域緊急輸送道路の沿道に立地する建築物の耐震化を促進することは重要であると認識しております。  そのため、平成二十八年に策定した「耐震改修促進計画」の第二期計画では県内の広域緊急輸送道路について、大規模地震時に通行を確保すべき道路として指定し、沿道建築物の所有者に対する耐震診断の実施及び診断結果の報告の義務づけや診断費用を支援する補助事業の創設等により、耐震診断の促進を図ってまいりました。  その結果、所有者への積極的な働きかけに加え、上限額以内であれば負担が生じないこともあり、耐震診断につきましては、これまでにおおむね完了しております。  一方で、沿道建築物の耐震改修につきましては、工事に多額の自己負担が発生することや、賃貸住宅やテナントビルにおける賃借人の移転や営業休止等の調整が必要となることから計画どおりに進んでいない状況にあり、広島デルタ地帯におきましても対象となる国道二号、三十一号、五十四号などの沿道四十八棟での耐震化率は、約一六%となっております。  このため、昨年度策定した耐震改修促進計画の第三期計画では、診断結果の公表による耐震化の現状に対する周知や所有者の負担を軽減するための補助制度の活用を促進することなどにより令和七年度末までのおおむね完了を目指すこととしております。  県といたしましては、引き続き、市町と連携しながら所有者に対して粘り強く働きかけ、必要に応じた個別の課題解決に向けて丁寧かつスピード感を持って対応することにより耐震改修の目標が達成できるよう取組を加速させてまいります。 21: ◯副議長小林秀矩君) 危機管理監尾崎哲也君。         【危機管理監尾崎哲也君登壇】 22: ◯危機管理監(尾崎哲也君) 広島デルタ内における浸水想定区域内の避難所について、複数部局にわたるお尋ねでございますが、代表して私からお答えいたします。  近年、太田川流域では、平成二十六年八月豪雨による支川根谷川の氾濫や、平成三十年七月豪雨による支川三篠川の氾濫など、甚大な浸水被害が発生しておりますが、広島市内のデルタ域におきましては、河川の氾濫による浸水被害は発生しておりません。  一方で、国のシミュレーションによると、例えば、平成三十年七月豪雨の際に太田川流域全体で記録した二日間で三百一ミリメートルの雨が、戦後最大の洪水をもたらした平成十七年九月の台風十四号のように、上流域を中心に降った場合、主にデルタ域西部において、河川の氾濫や決壊により最大で二メートルから五メートル未満の浸水被害が発生することが想定されております。  浸水被害が想定されるデルタ域西部の太田川放水路、天満川、元安川及び旧太田川については国が管理しており、国の河川整備計画におきましては、百年に一回程度の確率で発生する降雨を対象として、天満川において堤防整備や河道掘削等を実施するとともに、太田川上流部においては、洪水調節機能の向上を図るための調査検討を行うこととされております。  また、太田川水系全体でのソフト対策として、国及び県による危機管理型水位計の設置拡充やカメラ映像の提供など避難行動に資する基盤等の整備、関係市町による洪水浸水想定区域図に基づくハザードマップの作成、周知など的確な避難行動につなげる情報提供等に取り組んでおります。  引き続き、国及び市町と連携し、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策を着実に推進し、広島市内のデルタ域における安全・安心の確保に取り組んでまいります。  次に、広島デルタ内に立地する指定避難所につきましては、令和四年一月末時点で六十か所あり、そのうち、浸水想定区域内には五十四か所あると広島市から報告をいただいております。  また、津波や洪水、高潮等による浸水時に、目前に迫った危険を一時的に回避するため、堅牢で耐震性があり、地上四階建て以上で、避難スペースが確保できる建物などを浸水時緊急退避施設として、二百四十二施設が指定されております。  指定避難所につきましては、災害対策基本法に基づき、想定される災害による影響が比較的少ない場所にあることなど、災害時における安全性を考慮し、市町が指定することとされており、使用する場合には、災害の状況や施設・敷地等の被害状況を踏まえ、安全性を確認した上で、開設することとなっております。  県といたしましては、引き続き、浸水想定区域内に指定する場合においては、浸水深より高い位置に避難スペースが確保されることや、施設の構造が浸水被害に対応できることを確認した上で、避難所を指定するよう市町に働きかけてまいります。  また、県民の皆様に対しましては、洪水等による浸水被害から命を守るために、災害が切迫する前からの事前避難や、安全な場所にある親戚、知人宅、ホテルなどへの分散避難の普及促進に取り組んでまいります。 23: ◯副議長小林秀矩君) 商工労働局長川口一成君。         【商工労働局長川口一成君登壇】 24: ◯商工労働局長(川口一成君) 県内企業のBCPの策定状況についてお答えいたします。  県内企業のBCPの策定は、災害や新型コロナウイルス感染拡大など企業に影響を及ぼすあらゆるリスクの発生時に事業継続を可能とし、経済活動の早期復旧に資するのみならず、企業そのものの信用を高めることにもつながるものであり、極めて重要なものであると認識しております。  とりわけ、本県におきましては、平成三十年七月の西日本豪雨災害による県内経済活動の停滞を経験したことを踏まえ、令和元年度から、緊急時レジリエンス環境整備事業により、BCPの必要性を訴えるセミナーを開催するとともに、ワークショップ形式の策定講座や策定したBCPを検証する演習などを実施し、現在までに、四百四十二社のBCPの策定を支援してきたところでございます。  しかしながら、昨年五月の民間調査会社の調査によると、本県企業のBCPの策定率は全国平均を下回り、四七・九%の企業は未策定との結果となっており、その理由としては、策定に必要なスキル、ノウハウがない、策定する人材や時間の確保が容易でないなどが挙げられていることから、引き続き、策定ノウハウの提供などに取り組むとともに、策定する企業の負担軽減を事業規模などに応じて図っていく必要があると考えております。  また、地域やサプライチェーンに大きな影響力のある企業のBCP策定を促すことが、取引先など多くの関連企業の策定にもつながることから、今後四年間で、八百四十社のBCPの策定を支援することにより、県内全域への普及拡大を図ってまいりたいと考えております。  このため、来年度からは、事業規模や地域特性など企業の実情に合わせたBCPの策定支援を行うとともに、サプライチェーンの中核企業を通してグループ企業を一堂に集め、サプライチェーンとしてのBCPの策定を進めるなどの取組を強めることとしております。  こうした取組によりまして、県内企業の緊急時に強靱かつ柔軟な事業活動ができる環境を整備するとともに、企業価値の向上を図ってまいります。 25: ◯副議長小林秀矩君) 土木建築局長齋藤博之君。         【土木建築局長齋藤博之君登壇】 26: ◯土木建築局長(齋藤博之君) 二点についてお答えいたします。  まず、広島港の整備計画についてでございます。  広島港の将来像につきましては、平成三十年九月に取りまとめた広島港長期構想において、物流・産業面では地域産業の持続的発展やアジア諸国等との交易拡大を支援する国際物流拠点を、人流・にぎわい面では瀬戸内と世界をつなぐ国際交流拠点を目指すこととしており、その実現に向けた取組を進めているところでございます。  具体的な取組としては、瀬戸内における国際物流拠点としての役割を担うため、出島地区において、東南アジア諸国や中国、韓国をダイレクトに結ぶ外貿コンテナ埠頭の機能強化に向けた大水深岸壁の延伸やコンテナ物流用地の造成などを進めることとしております。  また、国際交流拠点としての役割を担うため、宇品地区においては、ラグジュアリー・プレミアムクラスをはじめとしたクルーズ客船にふさわしい寄港環境づくりとして、係留施設の延伸とクルーズターミナルの整備を実施しているところでございます。  さらに、憩い・にぎわいの場を形成するため、宇品地区の海辺の景観や自然、歴史などを楽しむための遊歩道などの整備や港湾施設を活用した新たな商業施設の誘致などについて、地域の方々や民間事業者と連携した取組を進めているところでございます。  引き続き、広島港長期構想に掲げる「瀬戸内海を牽引するグローバルゲート 広島港 HIROSHIMAから世界へ・世界からHIROSHIMAへ」という理念の下、将来像の実現に向けて、地域の皆様への情報発信、周知を図りながら、これらの取組を着実に進めてまいります。  次に、広島港への交通アクセスについてお答えいたします。  本県の重要な物流拠点である広島港の機能を最大限発揮するためには、広域的な道路ネットワークの整備が重要であることから、国などの関係機関と連携し、広島南道路の整備を進めているところでございます。  広島南道路のうち、宇品から吉島間に至る元安川渡河部につきましては、自動車専用道路である広島高速三号線と一般道である国道二号の橋梁をそれぞれ建設する計画となっておりますが、広島都市圏における東西方向の広域的な幹線道路ネットワークの整備効果を早期に発現させるため、広島高速三号線の橋梁を先行して整備したところでございます。  国道二号の橋梁につきましては、地域の利便性を向上させる役割があることも十分認識しておりますが、その整備につきましては、今後の交通状況や周辺環境の変化を見極めながら、整備主体である国やその負担者である広島市、関係機関とともに、今後、広島都市圏全体の幹線道路整備について協議を行う中で、議論してまいりたいと考えております。  また、現行の広島高速道路の料金につきましては、出島─吉島間のような短い区間でも利用しやすくなるよう、対距離料金制で設定するとともに、有料道路事業の償還が可能な範囲内でETCによる通勤時間帯の割引や多頻度利用者を対象とした割引などを実施しているところでございます。  そのため、御指摘の既存ストックの有効活用としての料金値下げにつきましては、慎重に検討する必要があると考えており、引き続き、利用実態や将来の交通量を踏まえながら、可能な限り利用しやすい料金となるよう、広島高速道路公社や広島市と連携して取り組んでまいります。 27: ◯副議長小林秀矩君) 環境県民局長新宅郁子君。         【環境県民局長新宅郁子君登壇】 28: ◯環境県民局長新宅郁子君) 出島地区廃棄物処分場についてお答えいたします。  出島処分場につきましては、地元の皆様の御理解と御協力の下、締結した協定に基づき、受入れ廃棄物の確保対策や、環境対策の徹底などに努めてきたところでございますが、見込んでいた埋立量を確保できず、協定で定める廃棄物受入れ期間の十年間での埋立て終了は困難な状況となっております。  このため、地元の代表者等で構成する出島協議会や地区ごとの個別協議において、延長を含む今後の対応について協議をさせていただいております。  今後の埋立量の確保の見通しにつきましては、既存の受入れに加え、県西部の複数の排出事業者から年間約三万トン、既存の排出事業者の搬入量の増加分として年間約三万トンの合計で年間約六万トンの新たな受入量を見込んでおります。  地元の皆様には、これまでの取組状況等に加え、こうした新たな確保の見通しや今後の埋立量の推移、算定の考え方などを丁寧に説明しているところでございます。
     地元の皆様からは、これまでの協議の中で、事業期間や地域振興策などについても御意見を頂いておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、協議の開催を見合わせていた期間もあり、皆様と意見を共有し、議論を深めるまでには至っておりません。  県といたしましては、引き続き、地元協議会や地区ごとの個別協議により、御意見を伺いながら、地元の皆様の御理解をいただけるよう丁寧に協議を進めるとともに、排出事業者への働きかけなどによるさらなる埋立量の確保や、海上からの廃棄物受入れ体制の検討、環境対策の徹底等について、環境保全公社と連携し、可能な限り早期に埋立てを終了できるよう取り組んでまいります。 29: ◯副議長小林秀矩君) 健康福祉局長木下栄作君。         【健康福祉局長木下栄作君登壇】 30: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 保育士の処遇改善についてお答えいたします。  認可外保育施設は、県や市町から認可を受けていない施設でございますが、その中には、医師や看護師などのエッセンシャルワーカーが利用する病院内保育所などもあり、社会機能の維持に必要な一定の役割を果たしている施設もあると認識しております。  また、そういった施設に勤務する保育士の皆様は、現在の非常に厳しいコロナ禍において、日々、感染防止に努めながら、強い責任感と使命感を持って職責を果たしておられます。  一方で、認可外保育施設につきましては、認可基準を満たしていないことから、国の制度設計においても、保育士の給与も含めた運営費は公定価格として定められておらず、設置者等において自由に決定されていることから、今回の保育士の処遇改善の対象となっておりません。  本県といたしましては、保育士の処遇改善は、全国で一律に対応すべきものと考えており、今回の認可外保育施設に対する国の考え方を踏まえた支援の在り方について、その動向を注視してまいります。 31: ◯副議長小林秀矩君) この際、暫時休憩いたします。休憩後の会議は午後二時十五分から開きます。         午後二時二分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後二時十五分開議 32: ◯議長中本隆志君) 出席議員五十九名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。宮崎康則君。         【宮崎康則君登壇】 33: ◯宮崎康則君 皆さんこんにちは。自民議連の宮崎でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただき、議長をはじめ、先輩、同僚議員各位に心から感謝を申し上げます。本日は、現場の生の声を伺い、過去の質問、答弁も踏まえ質問してまいりますので、県当局には分かりやすい答弁をお願いいたしまして最初の質問に入ります。  最初は、一学年一学級規模の高等学校の活性化についてです。  一学年一学級規模の県立高校は、私の地元の湯来南高校をはじめ、県内に十四校あります。県教育委員会が定める「今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画」によれば、こうした小規模校では、学校活性化地域協議会を設置し、三年間の活性化策を通じて在籍数八十人以上の維持を目指すこととされており、二年連続して下回った場合は協議会の意見を聞いた上で基本的に統廃合などを決定するとされております。  先ほど挙げた十四校のうち、現在この規模を下回っている高校は六校あり、そのうち、湯来南高校の今年度の入学者数は八名、全校生徒は六十二人と県内で最も小規模な高校の一つとなっています。現行基準では、新しく入学する一年生の数が卒業する三年生より少なければ、次の年に入学する生徒数を減少分の倍以上確保しないと維持できないことになり、相当のハードルであります。  実際、今年度地元中学校から湯来南高校へ進学したのは二名のみで、まずは地元中学校から地元高校への進学率を上げていく必要がありますが、向こう十年間の地元中学校の卒業生は、毎年三十人弱と見込まれており、地元中学校からの進学率を少々上げても、正直八十人の確保は厳しいと考えます。  中山間地域の人口減少に歯止めがかからない中、これら十四校は地域の唯一の高校であり、こうした高校の存続が直ちに地域の存続に影響するとは思いませんが、それよりも統廃合で生徒の学べる場が少なくなったり、通学が困難になったり、経済的な負担が増えることが問題ではないでしょうか。  私自身も、教育上、小規模校の場合、集団の中で多様な考え方に触れる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少なく部活動も設置が限定されるなど、生徒にとって望ましいことではないこともあると承知しております。  教育委員会では、今年度から都市部の拠点校と中山間地域等の小規模校の間でデジタル技術を活用した遠隔教育の試行を始め、小規模校での教科担当の教員不足などの課題を検証し、令和五年度から本格実施するとしていますが、こうした取組が地元中学校からの進学率の改善に果たしてどこまで寄与するのか、正直見通せない思いでもあります。これまでの学校や教育委員会、地域の努力により、一部の小規模校では生徒数の回復傾向も見られますが、ほとんどの高校は来年度も大変厳しい局面にさらされています。少子化の進展具合などにもよりますが、現行基準のままでは遅かれ早かれ、こうした学校の統廃合は避けられないことになるのではないかと懸念しております。  そこで、平成二十六年度に策定した今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画について、昨年二月の定例会での我が会派の森川議員からの質問に対し、次期計画の策定に向け検討を行うとのことでしたが、小規模校の統廃合等の基準について現在どこまで検討が進んでいるのか、その方向性について教育長の御所見をお伺いいたします。  あわせて、そもそもこうした中山間地域などにある小規模校の存在意義をどう認識しているのか、また、地元中学校からの進学率を統廃合等を判断する際に考慮する余地はあるのか、お伺いいたします。  こうした小規模校を取り巻く諸問題に関しては、市町や地域も深刻な課題と捉え、小規模校の活性化に向けて市町から通学費の補助や地域支援員の配置、公営塾の設置など様々な財政的支援がされていると伺っております。  そこで、教育委員会として、中山間地域などにある小規模校で学ぶ生徒のためにも、さらに踏み込んだ支援を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。  次は、ものづくり分野での女性活躍に向けた教育施策についてです。  本県は、重厚長大型の基幹産業を擁するものづくり県であり、県内の工業系の高校ではこれまで多くの有為な若手技能人材を地元のものづくり企業へ送り出してきました。  しかしながら、先日発表された県内公立高校の選抜I、そして選抜IIでも多くの工業高校で定員割れとなりました。実は、こうした傾向は、ここ最近特有の現象ではありません。例えば、昭和六十年度に公立、私立合わせて約四千五百人規模であった工業系の高校入学者数が、今年度は約一千五百人と三分の一にまで落ち込んでおり、地元企業への人材供給力がますます低下し、ひいては本県のものづくり産業へも深刻な影響をもたらすのではないかと懸念しております。  そうした中、先日、平川教育長から、これからの工業高校は女性の時代であり、宮島工業高校では全校生徒の四分の一を女子生徒が占め、ものづくり現場で活躍する女性を育成しているとの話を伺いました。  そこで、先日実際に宮島工業高校に出向き、女子生徒の入学が増えた背景について校長先生からいろいろお話を伺うことができました。実は、この高校では、従来の工業高校のイメージを払拭し、ものづくり分野に興味を持つ女子生徒に選ばれるための取組を長年進めてきており、地域にも宮工ブランドとして積極的に発信し浸透してきているとのことでした。  例えば、くくり入学といった二年次から専門科目を選択できる柔軟な制度の導入や生徒指導の徹底による地域での学校のイメージ変革などの努力を積み重ねてきた結果、先輩からの口コミや女子生徒を前面に出した学校説明会の機会などを通じて、女子生徒でも学びやすい環境の学校との評判が広がり、中学生の女子生徒を持つ保護者や生徒本人からも評価されているとのことであります。実際に、大工になりたいから入学したと自らの夢を熱く語る女子生徒の思いも聞き、定員割れの続く工業高校の今後目指すべき姿といったものにも思いをはせた次第であります。  工業系の高校では、一般的に男子生徒がほとんどを占め、本県全体でも女子生徒は一割強にとどまります。将来ものづくり分野で仕事をしたいと思い描いている女子中学生の中には、宮島工業高校のような女子生徒でも通いやすい環境の工業高校がなかなかないため、仕方がなく別の道を選んでいる生徒もいるのではないでしょうか。  教育委員会では、今年度から私の母校でもある県立広島工業高校でも女性校長を赴任させ、取組を進めようとしているそうですが、製造業などのものづくり分野においても女性が三割を占め現場で活躍している現状を踏まえ、他の専門校においてもぜひとも女子生徒も入学しやすい環境づくりを進め、工業高校の活性化はもとより本県ものづくり産業への人材輩出力を高めていただきたいと考えます。  そこで、新型コロナ以前から県内のものづくり分野では人材不足が経営上の優先課題となってきていることを踏まえ、こうした分野での女性活躍に向けた教育施策を強力に推し進めていく必要があると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  次は、産業教育の一層の推進についてです。  県では、昨年二月の補正予算において、県立の専門学校へのデジタル化に対応した産業教育設備の整備に向け、総額二十七億円もの予算を確保し、学校単位での機種選定委員会を通じて、マシニングセンターやレーザー加工機などの機種を選定し、順次導入を進めていくこととしています。企業や有識者などからの意見も踏まえ、高額な設備を各校に配置するということで、今後産業界で求められる資質や能力を持った専門高校生を育成し、地元企業の第一線で活躍する若手人材が多く輩出されることに期待したいと思います。  そうした中で一番求められるのが、高度な設備を使いこなし生徒に適切に指導できる教員の存在ではないかと考えております。このテーマについては昨年の二月定例会でも質問しましたが、その道の専門家による研修会の開催や教員の間でのノウハウを共有する仕組みなどを導入するとのことでありました。今回の当初予算でもそうした研修や実習を行う予算が計上されていますが、先端技術の知見を要する指導力は一朝一夕に獲得できるものではないと考えます。特に、機器が導入されてから教員が勉強を始めたのでは取組が遅いのではないでしょうか。  そこで、今回のデジタル化に対応した産業教育設備の整備に合わせ、これまでどのような指導者教育をしてきたのか、また今後の指導者育成の方針とそのプロセスについて教育長にお伺いいたします。あわせて、産業界から求められる専門高校生の資質と能力の育成に向け、新たなカリキュラムを開発中と伺っていますが、どういった内容のものをいつまでに全県展開していくつもりか、お伺いいたします。  次は、高等学校入学者選抜の改善についてです。  この問題については、昨年の二月定例会においても質問しましたが、いよいよ来年度の公立高校の入試から新制度での実施となります。来年度の入学者選抜の基本方針等については、昨年十二月に既に決定され公表されました。  新制度においては、本県の十五歳の生徒に自己を認識し、自分の人生を選択し、表現することができる力を身につけさせるという観点から、受検の機会を一次選抜と二次選抜の二回とするほか、調査書の記載内容の簡素化、合否判定における学力検査や調査書等の比重の見直し、そして、新たに自己表現の導入が主なものとなっています。自己表現については、先般基本的なガイドラインや評価の在り方のほか、試行事例など一定の内容が示されたところです。また、そのほかにも定員の五〇%以内で学校が設定できる特色枠では、学力検査の結果を活用する教科や配点等が学科やコースによって異なることや一次選抜の合否判定の際には、まず特色枠で判定し、次に一般枠で判定する二段階選抜になるなどかなり複雑なものとなっています。  このため、これまで以上に生徒、保護者が各高校の選抜方法等の違いを理解する必要があると考えますが、各校の特色枠の取扱いなど具体的な実施内容についてはまだ示されていません。生徒の進路選択にも関わりますので、可能な限り早期に示すことが必要と考えます。さらには、受検機会を二回に減じたことで全体の選抜日程を短縮するとのことですが、具体的な日程はまだ示されていないため、中学校関係者からは不安の声も聞こえてまいります。  そこで、中学生やその保護者、さらには学校が混乱しないように、これら入試制度の全体像を可能な限り早期に示すことが必要と考えますが、選抜日程や各学校の入学者選抜の実施内容についての検討状況と、それらをいつ頃示されるのか、教育長にお伺いいたします。  また、自分で進路選択していくためには、中学生自身が複雑な制度や各学校の特色等を十分に理解することが不可欠ですが、特に、どう工夫して取り組んでいかれるのか、併せてお伺いいたします。  次は、犯罪に関わる行政の支援についてであります。  犯罪には、加害者もいれば被害者も存在します。私はこれまで、一度罪を犯した者が更生し社会復帰しようと望んでも、なかなか社会に受け入れられず再び罪を犯してしまうことが大きな課題となっていることから、加害者の再犯防止と更生をテーマに何度も質問してまいりました。ただ、私は、どちらかというと我が国では、これまで加害者側の支援に偏ってきた面もあると感じており、今回加害者、そして被害者双方への適切な支援が必要との観点から、二点質問させていただきます。  一点目は、犯罪被害者等への支援についてです。  突如犯罪に巻き込まれ被害を受けた方々が平穏な生活を営めるよう、必要な支援が行き届く体制を構築するため、今次定例会に広島県犯罪被害者等支援条例案が上程されております。  私は、これまでの一般質問で、犯罪被害者の支援の充実に向け、まずは条例化が必要と訴えてきましたが、ようやくその第一歩が踏み出されることとなりました。また、今回、メディアの過熱取材やインターネット上の誹謗中傷などの二次被害を防止、軽減するため、遺族などの意見を酌み取り、他県に先んじて弁護士費用の助成制度を設けたことは、大いに評価したいと思います。  本県の刑法犯認知件数は、減少傾向にあるものの年間一万件を超えており、不幸にして被害を受けた方が路頭に迷わないためにも、行政が関係機関と手を携え支えていかなければなりません。  そこでまず、この条例が制定された暁には、次の段階として、条例に掲げる理念を実現するため、市町や関係機関とも連携し、実効性ある取組を戦略的に進めていく必要があると考えますが、今後の方向性について知事の御所見をお伺いいたします。あわせて、不幸にして被害を受けた方が相談しやすい環境づくりも必要と考えますが、県民への支援内容等の周知方策とともに御所見をお伺いいたします。  また、広島市においても支援条例が制定される運びとなっており、その中で、犯罪被害者の経済的な負担軽減を図るため、見舞金制度を設けています。既に、条例や要綱を制定済みの他の県内の十市町でも同様の制度を設けていますが、県条例にはこうした規定がないため、未制定の市町では見舞金が支給されず、残念ながら住んでいる地域で支援に差が生じる結果となっています。そもそも、犯罪被害者等基本法第十三条では、地方自治体に給付金支給制度の充実等を求めており、国の第四次基本計画でも、見舞金等の支給制度や生活資金等の貸付制度の導入を要請しております。三重県など八都県では既に見舞金制度を導入済みであることからも、今後の検討課題と捉えております。  そこで、犯罪被害者等の経済的負担の軽減に向け、住んでいる地域によって受けられる支援に差が生じるのは望ましくないとの観点から、県が補完的に見舞金制度を導入するか、あるいは、制度のない県内市町での早期導入を後押しするなど、この課題にしっかりと向き合うべきではないかと考えますが、県の方針と今後の具体的な取組についてお伺いいたします。  また、先日、広島被害者支援センターを訪問した際、ボランティアに近い形で少人数で対応している人員体制や高額な家賃が負担となっている脆弱な財政基盤等の課題を伺いました。条例化を受けて本県の犯罪被害者等への支援が次のステップへと踏み出す中、現場の声をしっかりと受け止め、県が主体となって各種取組を強力に推進していただくことを強く要望いたします。  二点目は、再犯防止対策についてです。  近年は、初犯者の数は大きく減少する一方、社会復帰後再び犯罪を起こす再犯が社会問題となっております。  最新の犯罪白書によれば、二〇一九年の出所者のうち約一五%に当たる約三千人が二年以内に再び罪を犯し刑に服しています。さらには五年以内で四割、十年以内だと半数弱が再び罪を犯し刑に服しているとのことであります。本県でも近年の再犯者率は五割台と、全国平均よりも高い水準で推移しております。  こうした中、本県では、昨年三月に再犯防止推進計画を策定し、犯罪や非行をした者の就労、修学や生活支援を行い、更生支援への社会的関心の喚起等により円滑な社会復帰を促し、犯罪被害者を生み出さない社会を目指すとしています。今後、県計画をベースに刑事司法関係機関や市町の関係部門、民間団体とも一層の連携を図り、効果的な取組を進めていただきたいと思います。例えば、再犯防止推進法で努力義務とされている地域計画を策定済みの県内市町は、昨年十月時点で五市のみであり、地域社会の理解促進に向け、策定市町を増やしていくことが求められます。  また、出所者を積極的に雇用する協力雇用主への登録企業や実際の受入れ企業数の増加や立ち直りを地域で支える保護司の確保、司法と福祉の双方に精通した専門人材の育成など、関係機関のネットワークも強め、支援基盤のさらなる強化を図る必要があると考えます。出所後の孤立を防ぎ自立につなげることで再犯防止を図るためには、服役中から出所後に至るまでの切れ目のない支援も必要ではないでしょうか。  そこで、再犯防止の一層の推進に向け、就労、修学の促進や地域活動など社会参画の推進が効果的と考えますが、出所者を取り巻く本県の実態と併せ、これまでの県の取組の課題と今後の方針について知事の御所見をお伺いいたします。特に、犯罪や非行をした者の就労支援については、その後の定着に向けた取組も重要と考えますが、併せて御所見をお伺いいたします。  次は、子供を産み育てやすい環境の構築についてです。  私は婚活支援、そして若年層の社会減対策、所得向上策などと併せ、子育てに対する支援が少子化対策の最も重要な施策の一つであり、これらの施策を重層的に展開し、かつ、好循環させていかないと少子化の打開には結びつかないと考えております。特に、昨今は将来への不安から結婚や出産どころではないといった若者の声を聞くところでもあります。  そうした中、昨年の児童虐待の相談対応件数が、児童相談所への通告ベースで二十万件を超え過去最多となっており、中でも小学校入学前が五割近くを占めるとされております。現在のコロナ禍では、人とのコミュニケーションが制限され、子育て家庭が孤立する状況が生まれやすくなるため、このような状況による育児不安などを招かないよう、医療機関や学校機関、福祉機関などが情報を共有し、子育て家庭をしっかりと見守っていく体制を機能させていかなければなりません。  本県では、子育て家庭の不安感や負担感を軽減し、子供を希望する方が安心して妊娠や出産、子育てできる環境を構築するため、市町と連携してひろしま版ネウボラの取組を進めており、今年度は県内十三市町で実施され、来年度は新たに四市町を加え十七市町に拡大予定と聞いております。この本県のネウボラの大きな特徴の一つとして、妊娠期から三歳までの間に七回以上の面談を実施し、そのうち五回のタイミングでは全ての子育て家庭の状況を漏れなく把握する取組が行われております。  現場は本当に大変だと思いますけれども、何らかの事情で面談に来ない、連絡がつかない子育て家庭ほどリスクが隠れている可能性が高いと思われますので、コロナ禍でこれまで以上に見えにくくなっている子育て家庭の悩みやリスクを把握するためにも、非常に有効な取組であると感じております。  そこで、様々な理由から定期面談等に応じていない層への支援をどう進めていくのか、お伺いいたします。また、ひろしま版ネウボラ実施市町における課題の共有や継続的な改善の進め方と併せ、住んでいる市町によって支援に差が生じないよう、ひろしま版ネウボラの早期の全県展開に向け、未実施市町の参画をどう進めていくのか、今後の取組方針について知事にお伺いいたします。  次は、障害者雇用についてです。  昨年度、全国のハローワークを通じて就職した障害者は約九万人と、前年度から約一万三千人減少しました。これまで自治体や民間企業に求めてきた障害者雇用率も段階的に引き上げられ、制度の浸透に伴い障害者を雇用する企業も増えてきましたが、コロナ禍を受け新たに職を求める障害者も二十一年ぶりに減少したほか、障害者が解雇される事例が相次ぐなど感染の拡大はこれまで順調に推移してきた障害者の雇用にも影響を及ぼしています。  一方、本県における直近の障害者雇用率は、民間部門で法定雇用率を達成したものの、中国五県で最も水準が低く、達成企業割合も依然として五割を下回るなど、まだまだ改善の余地があります。  中でも課題と考えるのは、障害者の離職です。コロナ前のデータではありますが、障害者職業総合センターの調査によれば、就職後一年以内の離職率は障害種別によって差がありますが、三割から五割とかなりの高水準でした。現在はさらに情勢が悪くなっている可能性があります。  また、厚労省の調査によれば、身体障害者や精神障害者の離職理由として、職場での人間関係や仕事内容が合わないなどが挙げられており、コロナ禍においても職場でのコミュニケーションの改善や障害特性に合わせた適正配置など、好事例の横展開やジョブコーチなど専門家による支援制度の活用促進などが求められるものと考えます。  そこで、障害者雇用率のさらなる向上策と併せ、障害者が離職しにくい環境の構築に向け、国や関係機関等との一層の連携が求められるものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次は、都市のスポンジ化対策についてです。  先月、空家等対策特別措置法に基づき、広島市が行政代執行で木造二階建ての空き家を解体し、所有者へ費用を請求するという報道がありました。この法に基づく代執行は、倒壊のおそれがあるなどの物件を行政が特定空家等として所有者に改善を命じ、応じない場合は強制的に撤去できるものであり、県内では所有者が特定できない場合に代執行を行う略式代執行での解体事例はありますが、今回のように所有者が特定される場合の代執行は初めてのことです。  広島市では、二〇〇五年に地元町内会から連絡を受け、所有者との面会や指導、勧告などを重ね今回の代執行に至ったとのことですが、代執行後の費用請求の対応を含め、行政側の事務負担は大変大きいものと考えます。  県内の空き家の数は、平成三十年度の国の統計調査では約二十一万五千戸、そのうち活用方法が定まっていない空き家は約十一万四千戸で、県の推計では、令和十年度にはこうした空き家が約十四万七千戸まで増加するとのことです。  特に、密集した既成市街地内でこうした空き家が放置され続けると、近隣や周辺の住環境の悪化を招くだけでなく、地域の魅力を損なうことにもなり、その前に所有者による除却や活用等が適切になされるよう、有効な手だてを検討するとともに、必要な法改正や財政措置の拡充を国にも働きかけながら行政として推進していく必要があります。  また、少し大きな視点で捉えると、今後人口減少が進み将来的に世帯数も減少する中で、全国的にも都市の中心部で空き地や空き家がランダムに発生する、都市のスポンジ化の進行により、行政生活サービスの水準低下が懸念されており、これらを持続的に維持させていくには、都市部や既成市街地での空き地や空き家などの既存ストックの有効活用などにより、人口や都市機能などを適切に維持していく必要があると考えます。  県では、先日、居住誘導区域内の既存住宅の流通促進に向けた方策を取りまとめ、その具現化に向けた検討を始めておられますが、居住誘導区域内の中古住宅ストックの流通を促進させることは、管理が不適切な空き家の発生を抑制するだけではなく、都市のスポンジ化解消に向けても重要な課題の一つと考えます。  そこで、都市のスポンジ化を抑制するため、県として空き家などの活用を含め、具体的にどのように取り組んでいこうとされているのか、知事にお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 34: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 35: ◯知事湯崎英彦君) まず、犯罪被害者等への支援についての御質問でございます。  犯罪等による被害を受けた方及びその御家族が平穏な生活を営むためには、社会全体の理解と配慮を促進していくこと、必要な支援が途切れることなく提供される体制を構築していくことが重要であると認識しております。  このため、今次定例会に提案しております広島県犯罪被害者等支援条例におきまして、県の基本的施策を規定するとともに、今後の方向性を取りまとめた犯罪被害者等支援に関する取組方針を策定することとしております。  この取組方針では、保健医療・福祉サービスの提供や経済的負担の軽減など被害の軽減・回復に向けた支援、相談しやすい環境づくりや情報提供体制の充実など必要な支援にアクセスしやすい環境の整備、啓発活動や関係機関連携の促進、支援人材の育成など社会全体で支える基盤の強化を推進することとしております。  とりわけ、相談しやすい環境づくりにつきましては、相談窓口の集約による利便性の向上や福祉等に関する相談体制の充実によるコーディネート機能の強化を図ることとしております。  こうした支援内容の周知につきましては、警察を通して犯罪被害者等に直接行う情報提供や関係機関の支援内容や連絡先などの情報を整理したハンドブックの作成とホームページへの掲載、広島県被害者支援連絡協議会などの活用により行ってまいります。  次に、経済的な負担の軽減につきましては、被害の軽減・回復に必要な費用のうち、医療費などの基本的な費用は、国の給付金による手当てがなされており、また、犯罪被害者等が生活に困窮した場合、市町において住居確保給付金など既存の福祉制度が利用可能であることから、県においては、まずは、国などによる支援がなく犯罪被害者の御家族を含む支援検討会委員から御意見もあった二次被害の防止等に関する支援として、弁護士費用の負担軽減に取り組むことといたしました。  今後も関係機関や有識者などで構成する会議や支援窓口などを通じて犯罪被害者等の置かれた状況を把握した上で、必要な支援について検討し、犯罪被害者等が平穏な生活を営むことができる社会の実現を目指してまいります。  次に、再犯防止対策についてでございます。  犯罪や非行をした人が再び地域社会の一員として復帰するためには、犯罪や非行の背景に様々な生きづらさがあることを広く社会に理解され、立ち直りに必要な配慮を受けるとともに、修学や就労など社会参画の機会が確保されることが必要であると認識しております。  本県の犯罪や非行をした人の状況につきましては、近年、高齢者の割合が全国平均より一割程度高く、また、犯罪時に無職である人の割合が七割程度で、出所後の帰住先がない割合も二割を超えるなど、保健医療・福祉、就労や住居の支援が必要となる人が多い状況となっております。  このように、犯罪や非行をした人の状況を踏まえると抱える問題は多岐にわたることから、総合的に施策を推進するため、令和三年三月に「広島県再犯防止推進計画」を策定したところでございます。  この計画では、施策の三つの柱を掲げており、一つ目の社会の理解促進に向けた市町計画の策定につきましては、取組の結果、令和二年度末の四市から、令和三年度末では十一市に増加する見込みでございます。  二つ目の保健医療・福祉や住居の確保につきましては、福祉などの利用調整を行う地域生活定着支援センターにおける支援対象を拡大するとともに、広島県居住支援協議会などを通じ、居住支援法人及びセーフティーネット住宅の増加に取り組んでおります。
     三つ目の就労の確保につきましては、犯罪や非行をした人の半数程度が六か月以内に退職しているという国の調査結果を踏まえ、今年度、検察庁や保護観察所と協定を締結し、起訴猶予や保護観察が終了することなどにより、国の支援を受けることができない人を対象に、就職活動から職場定着まで継続して支援を実施する伴走型の就労支援を開始したところでございます。  今後とも、広島県再犯防止推進計画に基づく取組を積極的に推進し、犯罪や非行をした人が再び社会の一員となって、復帰することができる社会の実現を目指してまいります。  次に、子供を産み育てやすい環境の構築についてでございます。  本県では、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」におきまして、人口減少や少子化が進む中、地域社会の活力を確保していくために、子育て環境の整備などを喫緊の課題として取り組むこととしており、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を届ける、ひろしま版ネウボラの構築によって、子育ての安心感を醸成し、安心して妊娠・出産、子育てができる環境づくりに取り組んでいるところでございます。  ひろしま版ネウボラでは、市町のネウボラ拠点と地域の関係機関が連携して、医療機関受診の際など健診時の面談以外のタイミングも捉えて、全ての子育て家庭の状況を把握し、リスクの早期発見、早期支援を行う仕組みとして県内市町での取組を進めております。  乳幼児健診を受診しないことなどにより、子供や家庭の状況を把握できないケースに対しましては、この仕組みの中で状況を把握・共有し、リスクがあると思われる場合には、保健師によるアウトリーチなどにより必要な支援を行うこととしております。  こうした取組により、ネウボラ実施市町では、乳児家庭全戸訪問や乳児健診などにおきまして、一〇〇%の把握を達成していることから、現在のコロナ禍でこれまで以上に見えにくくなっている子育て家庭の悩みやリスクを把握できているのではないかと考えており、県内全ての市町に広げていく必要があると認識しております。  また、これらを含めたネウボラの取組が、子育て家庭の安心感の醸成につながっているのかを様々な指標を用いて検証しており、ネウボラ実施市町に対しましては、この検証結果に基づいた好事例の横展開や課題の把握、解決を行うなど、常に取組の見直し、改善を図っているところでございます。  さらに、ネウボラ未実施市町に対しましては、しっかりとコミュニケーションを図りながら、検証結果で得た定量的な成果やネウボラの理念などを共有することで理解を深めていただき、県内のどこに住んでいても同じサービスを受けることができるよう、伴走した支援を行い、全県展開を目指してまいりたいと考えております。  次に、障害者雇用についての御質問でございます。  県内の障害者の雇用状況につきましては、近年、民間企業における雇用障害者数、実雇用率ともに増加し続けており、企業における取組は進んでおりますが、法定雇用率を達成している企業の割合は約半数にとどまっていることから、障害者雇用に取り組む企業の裾野拡大を図っていくことが非常に重要であると考えております。  県では、これまで障害者雇用を推進するため、啓発冊子の作成・配布や障害者を雇用する事業所等の見学会を通じた障害者雇用への理解促進、合同就職面接会や職業訓練の実施による就業機会の拡充、就労支援メッセンジャーの養成による職場定着の促進などに取り組んでまいりました。  今後は、これらの取組を実施するに当たりまして、企業における障害者雇用の進捗状況に応じて必要な支援情報を提供していくこととし、企業が障害の特性や雇用の必要性を理解することで積極的な採用につながり、安定的な雇用維持に向けた取組となるよう関係機関との連携を強化してまいります。  具体的には、障害者雇用が進んでいない企業に対し、採用や定着に向けた具体的なイメージを持っていただくため、障害者雇用事業所等見学会において、障害のある方が実際に働いている姿や企業側のサポート体制などを間近で見ていただくとともに、ハローワークが窓口となる障害者雇用関連助成金の活用策や、障害者就業・生活支援センターが把握する障害者の就労への不安や配慮のニーズ等について情報提供するなど、雇用している企業の実例を参考にした解決策を提供してまいります。  また、離職防止に向けましては、障害の程度や状況に応じた働きやすい環境づくりが必要であることから、障害者の個々の状況を踏まえて事業主に仕事の内容や指導方法の改善を提案するジョブコーチの派遣制度など国や関係団体の各種支援策を取りまとめて分かりやすく情報発信し、活用を促していきたいと考えております。  今後とも、各支援機関と有機的に連携し、障害者の採用から定着まで一貫した支援を行うことにより、障害者の雇用拡大と離職しにくい環境の構築に取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 36: ◯議長中本隆志君) 都市建築技術審議官上田隆博君。         【都市建築技術審議官上田隆博君登壇】 37: ◯都市建築技術審議官上田隆博君) 都市のスポンジ化対策についてお答えいたします。  急激な人口減少により、今後の都市のスポンジ化のさらなる進行が懸念される中、集約型都市構造を形成し、人口密度や質の高い都市機能を適切に維持していくためには、市町が立地適正化計画に定める居住誘導区域における空き地、空き家を居住誘導の受皿として積極的に活用していくことが重要であると認識しております。  そのため、県におきましては、立地適正化計画の策定促進や空き家などを市場性のあるストックに再生する広島型ランドバンク事業の実施、老朽危険空き家の解消促進、ひろしま空き家バンク「みんと。」による情報発信など、市町の取組に対する支援を積極的に行っているところでございます。  さらに、今年度は、居住誘導区域内の中古住宅市場を活性化させるため、専門家や事業者、市町等で構成する中古住宅の流通促進に向けた検討チームを設置し、地域の魅力や生活環境等の情報の見える化、住宅購入を促すインセンティブの創出、中古住宅の流動化に向けた評価ツールなどの仕組みづくりに官民で連携して取り組む方策を取りまとめたところでございます。  今後、これらの方策を展開していくためには、住宅市場に関わる多様な主体と中古住宅市場の拡大に向けた方向性を共有しながら連携して取り組んでいく必要があることから、来年度は、検討チームの体制を強化し、地域の実情に応じた居住誘導区域内の中古住宅の流通促進に向けた方策の具体化に取り組んでいくこととしております。  県といたしましては、引き続き、市町や関係団体等と連携しながら、居住誘導に向けた空き家対策や中古住宅の流通促進などに積極的に取り組み、都市のスポンジ化を抑制することにより、集約型都市構造の形成を進め、誰もが安心して快適に暮らすことのできる持続可能なまちづくりを実現してまいります。 38: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 39: ◯教育長平川理恵君) 四点についてお答えいたします。  まず、一学年一学級規模の高等学校の活性化についてでございます。  「今後の県立高等学校の在り方に係る基本計画」の次期計画の策定につきましては、児童生徒の減少が見込まれる中、現行計画の考え方を踏まえつつ、Society5.0時代の到来など、社会や学校を取り巻く環境の変化を的確に捉えながら検討していく必要があると考えております。  こうしたことから、現在、学びの変革の定着状況、各学校の取組状況や学校・学科の再編整備の効果・検証などの現行計画における成果及び課題等の整理、中長期的な県内児童生徒数及び学級数の推計などの調査・分析を進めており、今後、学校・学科の特色づくりや適正な配置及び規模の考え方など、様々な観点から検討を行ってまいります。  次に、いわゆる小規模校、とりわけ中山間地域に所在する学校の存在意義につきましては、地域の次代を担う人材の育成という観点からも、非常に重要な役割を担っているものと考えており、次期計画におきましては十分配慮する必要があると考えております。  また、地元中学校からの進学率は、中山間地域の学校が一定の規模を確保し、活力ある教育活動を展開していくためには、地域に選ばれ続け、地元中学校から多くの生徒に入学していただくことが望ましいことから、次期計画におきましては、どのように位置づけるべきか、検討してまいりたいと考えております。  次に、いわゆる小規模校に対する支援につきましては、学校の活性化や魅力づくりを推進するため、これまでの事務局職員の定期的な学校訪問による学校経営や授業改善等に係る指導、生徒数増加の成果があった方策を共有するための情報交換会の開催などに加え、今年度から新たに、生徒に質の高い学びの機会を提供するための遠隔教育システムの導入、地元中学校の生徒の進路希望や学校の特色を踏まえた指導・助言などに取り組んでおります。  教育委員会といたしましては、いわゆる小規模校におきまして、活力ある教育活動が展開できるよう、こうした取組を継続しつつ、引き続き、各学校の課題や実情等を丁寧に把握しながら、必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。  次に、ものづくり分野での女性活躍に向けた教育施策についてでございます。  本県の基幹産業であるものづくり産業におきましても、女性が活躍することにより多様な視点や発想が加わり、生産性の向上やイノベーションの創出につながることが期待されることから、教育におきましても、多様性を生かした創造力や協働する力の育成が求められていると認識しております。  このような中、県立の工業系高等学校への入学状況は、定員に達していない学科があることや男子生徒に偏る傾向があり、とりわけ、女子生徒に工業科の学習内容を正しく理解し、ものづくりへの魅力を感じてもらう取組も必要であると認識しております。  このため、教育委員会におきましては、ものづくりへの魅力を生徒に感じさせるとともに、ものづくりに関する最先端の知識や技術を習得できるよう、今年度、工業系高等学校八校に、高度な加工技術を習得することができるマシニングセンターなどのデジタル化に対応した産業教育設備を整備したところでございます。  このうち、県立工業高等学校四校におきましては、企業や大学等の有識者にアドバイスをいただき、女子生徒にも、ものづくりの魅力を感じてもらうことができる学習環境を整備しております。  例えば、新たな価値を加えた製品を開発する探究学習におきましては、自由な発想で、自由なものづくりができるという、いわゆるファブラボの考え方を取り入れ、女子生徒が女性の視点や発想を生かして考えたアイデアを形にする際に、木材や布、プラスチックなどの柔らかい素材を用いて簡単に試作品の作成が可能となる3Dプリンターやレーザー加工機などを導入しているところでございます。  教育委員会といたしましては、こうした女子生徒にも親しみやすいものづくりを学ぶことができる環境を整えるなど、工業科の魅力づくりを進めることや、中学生を対象としたオープンスクール等におきまして、女子生徒にも学びやすい学習環境をSNSなどを活用して発信することにより、女子生徒をはじめ工業科への入学希望者の増加に努め、ものづくり分野での人材育成にしっかりと取り組んでまいります。  次に、産業教育の一層の推進についてでございます。  デジタル化に対応した産業教育につきましては、Society5.0時代の変化の激しい時代に柔軟に対応できる生徒の育成を目指し、カリキュラムの編成・実施、デジタル機器の整備、教員の資質向上の三つの取組を一体的に進めております。  デジタル化に対応した教員の資質の向上につきましては、今年度、県立工業高等学校の教員延べ六十人程度を対象に、先端技術を有する企業や大学、研究所等の専門家を講師とする研修会を三回開催し、3Dプリンターの活用などのデジタル機器活用の実演を通した知識・技術の習得やその機器を活用した指導力の向上、企業が求める人材像や人材育成方法等について意見交換による進路指導の充実を図ったところでございます。  今後の教員の育成方針につきましては、企業が求める人材像を踏まえ、デジタル社会において必要な情報活用能力や創造力等の資質・能力を生徒に身につけさせることができる教員の育成を目指してまいります。  この方針の今後の実施に向けたプロセスにつきましては、引き続き、企業や大学等から講師を招聘し、教員の技術・技能の向上を図るとともに、獲得した技術・技能を教員間で共有できるよう、ネットワークの構築に着手してまいります。  また、専門高校生に求められる資質・能力の育成に向け、ものづくりの魅力を感じさせるとともに、新たな価値を創造する力を育成するため、生徒が自ら本質的な問いを設定し、追及するプロジェクト型学習の要素を取り入れた工業探究プログラムを開発しております。  その開発につきましては、今年度第一学年分を作成・実施したところであり、今後、年次進行で開発を進め、開発した成果物等につきましては順次公開し、令和五年度を完成年度として全県に展開することとしております。  教育委員会といたしましては、引き続き、社会構造や雇用環境の変化等を見据え、企業や高等教育機関等との連携をさらに深めながら、カリキュラムを開発、実践し、教員の資質を向上することにより、ものづくり教育の一層の推進に取り組んでまいります。  最後に、高等学校入学者選抜の改善についてでございます。  高等学校の入学者選抜につきましては、これまで選抜日程は毎年五月に、各学校の選抜の実施内容につきましては毎年八月に公表してまいりました。  新たな選抜制度の実施初年度となる令和五年度入学者選抜におきましては、中学生への影響に鑑み、これを前倒しし、できる限り早期に公表してまいりたいと考えており、引き続き選抜日程や、各学校の特色枠等の実施内容について、市町教育委員会や中・高等学校長などの関係者と調整を進めてまいります。  次に、中学生の理解を深めるための取組につきましては、これまで、リーフレットや広報紙「くりっぷ」により新制度の内容について繰り返し周知をしてまいりました。  また、現場で指導を行う教員等の理解を深めるため、中学校、高等学校の管理職等に対する研修会で繰り返し説明してきたところでございます。  昨年十一月には、新たに実施する自己表現を中心に、実施内容等につきまして、県内全ての国公私立の中学校の管理職等を対象に説明会を実施してきたところであり、質疑応答も通じて関係者の理解を深めてきたところでございます。  今後は、中学生自身の理解も一層深めていくため、来月、司会者にラジオ等で中高生に知名度の高い大窪シゲキ氏を迎え、オンラインによる説明会を開催して、選抜制度について中学生に分かりやすく説明し、直接質問にもお答えしたいと考えております。  教育委員会といたしましては、選抜日程や各学校の実施内容等につきまして早期に決定、公表するとともに、中学生の主体的な学校選択を支援するため、引き続き様々な機会を捉えて、中学生、保護者及び学校関係者に対し、制度のほか各学校の特色等を踏まえた実施内容についても説明するなど丁寧に周知を図ってまいります。 40: ◯議長中本隆志君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時十四分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...